(9−3) はんだボールとはんだペースト混合の金属学
(9−3−1) SACボールとSnPbペーストの混合
後方互換性の問題の主要なものとしてSACボールとSnPbペーストの混合がある。
SnPb共晶の融点183℃に対し共晶近傍SACでも融点は217℃〜であり、その差が大きいので、SnPb共晶の
リフロー・プロファイルではSnPbとSACの混合、溶け込みが不十分となる。
TAL(液相線以上時間time above solidus)という考えが比較の基準として用いられることが多い。
またPbは最終凝固部に偏析するが、特にこの偏析が接合界面にマクロ偏析となると低融点相の形成を伴い破壊の起点となりやすい。
プロセス・ウィンドウ例
Pymento
Pan
@ 混合組織
Manhattan
SnPbペーストとSACボールの混合
183℃でSnPbが溶融し、SACがそこへ溶解していく。
TAL(:液相線以上時間)が十分だとSACの融点の217℃以下でも完全混合する。
217℃になるとSACはんだボールが溶融し始める。
不完全混合は2つの明確な微細組織をもつ。
未溶解SAC部は通常のSACと同じ初晶状Snデンドライトとその間の共晶組織よりなり、
混合部には大きなSnデンドライトとその間のSnとPbの2相、あるいは3相、4相共晶。
境界部にSnリッチ帯が形成されることがある。
下部の2と3は逆?
ピーク温度217℃以上の場合が以下の場合より組織が微細。
Hillman
ボール:SAC405、ペースト:Sn−Pb
SnPbのリフロー・プロファイル
不完全混合の例
境界が比較的はっきりわかる。
ゾーンC
Ag3Sn板の影響
デンドライト間へのPbの偏析と収縮孔
ゾーンDに見られた接合亀裂
亀裂(温度サイクル)
Ag3Snの状態から見て、凝固によるボイドがあった。
更にSn−Ag−Pb3元低融点共晶の存在が予測される。
Coyle
ボール:SAC405、ペースト:SnPb、比較はSAC405とSAC305、SnPbとSnPb
interlaced twinned粒界は見られない、大きなボール、高Ag量ではビーチボール構造が
おきやすいという知見と一致。
完全混合の微細組織の高解像BE像
Pecht
HASL:SnPb?
Coyle
Coyle
はんだボールSAC405、はんだペースト共晶SnPb(Leg1,2)とSAC305(Leg3)
Leg1
Leg2
Leg3
Kannabiran (2007)
Pbフリー:SAC305
BC:SnPbペースト、SACボール、FC:SACペースト、SnPbボール
HASL:SnPb?
SnPbアセンブリとFC(SnPbボール)が、SACアセンブリとBC(SACボール)が類似。
Nguyen
SnPbペースト、ボールSAC305
Sn量(ペースト体積)でピーク温度調整
BGA:Sn%=87〜95%、CSP:72%
LF(比較用):SAC305、SAC396ペーストボール
−40〜85℃、15分、昇降温25℃/分
2400Gピーク
4点曲げ、間隔75mm、変位3mm、2.25Hz
0.5mm/s
Wulfert
Coyle
Nandagopal
SAC305とSnPb
TAL:75秒と95秒
McMcormick
SAC305とSAC405の比較(ペースト、ボール同組成) 表面処理、0〜100℃
置換Snでは405が良い、低レベルでは差はない、ENIG、電解Ni/Auでは差はない。
SnPbとSACの混合
完全混合
初晶Snデンドライトと3元、4元共晶(Sn、Pb、Ag3Sn、Cu6Sn5)
ATC後の組織
混合組織、ペースト:SnPb
SAC305の方が粒が大きく、IMC少なくより離れ離れ。