(17−2) はんだの腐食

  ここでは水分存在下での局部電池形成による腐食、あるいはガスによる腐食などの腐食についてみて見る。

(17−2−1) 腐食の概観

Ambatの概観  電子工学における腐食と環境効果の概観
 電子製品での腐食の原因
  環境問題で最も重要なのはPCBでの残渣。
   残渣resides
    プロセス関連
     製造工程で使用した化学物質
      フラックス、エッチング媒体、めっき浴残渣、高分子材料添加物由来
    サービス関連
     サービス環境で導入される残渣
      塩化物、SO2ガス、NO2ガス
      ゴミ粒子は水分を捕らえる
       PCBの表面に水分があると2つの金属部品の存在でガルヴァニック電池形成しアノード反応で
       卑な金属が溶解。
  雰囲気腐食
   湿気条件で溶存酸素をカソードとし金属をアノードとする電池反応がおき、金属が溶解。

 腐食の熱力学
  Pourvaix図が腐食予測の有用な道具。
   ある溶液での腐食が起こる電位とpHを図示。

 電子製品での腐食の主要な形態
   ガス相腐食
     低レベルのH2Sは厳しい問題を引き起こす。
   アノード腐食と電解金属移動(エレクトロ・マイグレーション)
     電位差と水分の存在で陽極(アノード)で溶解し負極(カソード)で析出。
     水溶液でのイオンの安定性に依存、多くは水酸化物として析出。
     イオンの安定な電位とpH(Pourvaix図)
     Pb、Sn、Cu、Au、Agなどの存在でおこりやすい。
     デンドライトがカソードから成長しついにはアノードに達し短絡を形成する。

       デンドライト形成(Ag)と孔の形成
   

   カソード腐食
    カソード的に保護されていても局部電池反応によるpH変化で溶解を起こしうる。
    Alはカソード腐食を起こしやすい。


   ガルバニック腐食
     使用する材料の電気化学的特性の差・・・・イオン化傾向、標準電極電位(標準酸化還元電位)
       ENIGの無電解Niとポーラスな置換Auが例。


   擦過fretting腐食
    スイッチ、コネクタなどでSnを使用した場合、繰り返し擦られることにより酸化物のごみがたまる。


  迷走電流腐食
    導電体デハ高磁場あるいは電場で迷走電流が発生しPCBでは腐食問題をひき起こす。


Ambat プレゼン 腐食の型と腐食環境・・・電子工学における腐食

 PCB表面での腐食の可能性
  湿食・・・湿度環境からPCBへの水分凝縮と電気化学的過程による腐食に起因
  SO2、H2S、Cl2、NH3のようなガス環境下のPCBでの腐食しやすい金属・合金の腐食
  擦過腐食・・・湿食あるいはガス相腐食と電気的接触による摩損の相乗効果

  溶液のpHが凝縮水分層でのPCBの金属の腐食を決定する。




  なにがPCB上の凝縮層のpHと導電性を制御するか。
    工程関連汚染
     PCB製造工程から残る・・・特にヴィア・ホール
     はんだフラックス残渣
     指紋
     貯蔵・輸送でのゴミ集積
     高分子材料からのガス放出
    サービス関連汚染
     応用によるが塩化物、硫酸塩、アンモニア・イオンなど
     使用環境からのごみ粒子
     ガス

 電子組立品での腐食の種類 
  吸湿媒体での電気化学腐食
   ガルバニック腐食
   電解マイグレーション
   局部腐食・・・孔食、隙間腐食、粒間腐食
   アノード腐食、カソード腐食
   擦過腐食
   ガス腐食・・・硫黄環境

 ガルバニック腐食



  実際の合金





 電解移動(マイグレーション)



 擦過腐食



 アノードとカソード腐食
   アノード腐食はPCBでの移動しない単純な溶解による。
   ある種の金属領域はカソード腐食しやすい、たとえば腐食反応の間の局在化アルカリ環境の進展によるAl
   アノード反応は関係する金属により孔食、粒間腐食などとして局在化しうる。






 ガス腐食
  H2S、SO3、NH3、メルカプタンなどのようなガス
  PCB製造で使用された高分子からのガス放出
  湿食工程でできたガス、たとえば酸素

 Agの腐食
   H2SガスでAgSデンドライト形成
   S含有ガスと水分で湿食




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