(13−7−3) 落下試験に関するヘルシンキ工科大のMattilaらの研究
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熱サイクルと機械的衝撃 2005
3.2 機械衝撃負荷でのSAC相互接合
携帯電子製品の落下で衝撃は筐体から基板に伝達し基板の大きな曲げと振動を引き起こす。
JEDEC JESD22−B111に基板レベル落下試験が標準化。
基板は支持ジグで支持されガイド・レールに沿って制御されて落下。基板は自由に曲げうるので
種々のモードの自然周波数の曲げ発生。
<落下試験による3つの顕著な自然モード>
<基板の縦ひずみ波形>
(a)落下後のひずみ波形、(b)高周波数の自然モードによるひずみ波形
巨視的振動は低周波数の自然モードにより、高周波数振動は大きなひずみに埋もれている。
熱機械的負荷と機械的負荷の違い
温度と変形速度
熱サイクルでは変形速度10
−4〜10
−2/s
落下試験では約10
3/s
<歪速度応答性>
落下試験でのはんだの流動応力は熱サイクルより2,3倍高い。
高変形速度でははんだ相互接合の強度が増加し、界面での応力が脆いIMC層破壊強度を超える。
バルクはんだは顕著には塑性変形せず、再結晶は観察されない。
ひずみ速度が増加すると双晶機構が活発となり、相互接合領域の高応力部に双晶が観察される。
4. CSPの熱サイクルと落下信頼性
Sn0.2Ag0.4Cuバンプ
4.2 落下試験
はんだペースト:SAC387
<(Cu,Ni)6Sn5経由の部品側破壊:Cu|OSP 注:界面は薄いNi/Au>
<(Cu,Ni)6Sn5下のPWB側破壊:Ni(P)|Au>
落下試験の破壊モードは熱サイクルと非常に異なる。
室温は0.6Tmで塑性変形は強くひずみ速度依存。
熱サイクル(〜10
−3/s)より落下試験(〜10
4/s)ではんだ接合強度非常に大。
そのためはんだ接合の応力の強度と分布も異なる。
有限要素法によると応力が増加するだけでなく部品側に集中。
落下試験でのはんだ相互接合の高流動応力のためIMC層は顕著に熱サイクルより高応力を経験する。
同じ計算でPWB側のはんだ|パッド相間応力は部品側の半分より小さい。
はんだの引張り強度はIMCの破壊強度を超えIMC層内を破壊は伝播。
<落下試験後のバルクはんだ構造:機械的双晶>
落下試験サンプルには再結晶は観察されない。
落下試験でははんだ相互接合の強度が増加し顕著な塑性変形はおきない。
ひずみ速度増加で双晶機構が活性化される。
高応力な相互接合領域に双晶が典型的に観察される。
<Ni(P)/Auの反応層のTEM>
PWB側界面の応力は部品側より非常に小さいがNi(P)|Auはんだ相互接合の主要破壊モードは
PWB側の(Cu,Ni)6Sn5の下。
Ni(P)/Auの破壊経路はいつもCu/OSPより非常に平滑で真っ直ぐ。
Ni(P)/Auに形成されるIMC層は複雑な多層構造となる。
<破壊路に垂直なX線ラインプロファイル>
破壊伝播はNiパッドと(Cu,Ni)6Sn5間のどこか。
機械的衝撃負荷条件でのCSP相互接続の信頼性
SACバンプ、ペーストSAC387
PWBはOSPとNi(P)/〜0.02μmAu
部品側金属層は電気化学Ni/Au→はんだ付けで(Cu,Ni)6Sn5 IMC形成
<変形速度と応力分布>
落下試験の破壊モード
部品側界面の(Cu,Ni)6Sn5 IMC内
PWB側界面のCu6Sn5 IMC内(Cu OSPアッセンブリ)
PWB側の(Cu,Ni)6Sn5の下(Ni(P)アッセンブリ)
PWBのはんだ付けパッド下の樹脂被覆Cu積層(パッド下積層板えぐれ)
<Cu|OSPアッセンブリ>
上:電気化学Ni/Au、下:Cu/OSP
<Ni(P)|Auアッセンブリ>
PWB側IMC層に厳しい亀裂
<PWBの積層板亀裂>
高速機械負荷(落下試験)
CSPサイズのSn−0.2Ag0.4CuバンプBGA、径500μm、800μmピッチ、バンプ数144
PWBパッドはOSPとNi(P)/0.02μmAu、PWB接合ペースト:SAC387、電気抵抗モニタ
部品側UBM:〜0.6−0.8μm電気化学Ni/フラッシュAu
*電気化学Ni上に形成された(Cu,Ni)6Sn5
機械的衝撃負荷(落下試験)
はんだペースト:SAC387
JESD22−B111条件B(ピーク減速度1500D、パルス幅0.5ms)
基板Ag:0.5〜0.7μm化学Ag
従来と異なる破壊モード→部品の寸法と構造が異なる。
プレゼン
<ひずみ速度による応力分布変化と破壊モード>
落下への温度の影響
CSP、バンプ:SAC405、Al/Ni(V)/Cu、はんだペースト:SAC387
η:特性寿命、β:形状パラメータ
亀裂核生成場所は試験温度に関わらず同じ、UBMと誘電体層(ベンゾシクロブテンBCB)の間。
まずAl|BCB界面に沿って伝播し、ついでAl層間を20〜30μm、最後にIC層はバルクはんだに跳ぶ。
温度上昇で亀裂伝播経路は変化する。
室温では部品側(Cu,Ni)6Sn5 IMC層、温度上昇で徐々に亀裂伝播経路はバルクはんだに変化。
温度上昇ではんだの強度は低下し、塑性変形で相互接合の最大応力は減少。
PWBの剛性も温度上昇で低下、しかし温度は局在化しているために剛性低下も局在化。
このような応力低下で破壊モードはIMC層亀裂からバルクはんだ亀裂へ変化。
昇温による機械的衝撃でのはんだ相互接合の破壊モード(振動と落下)
はんだペーストSAC387、基板OSP
落下試験は82cm、ピーク値1500G、パルス幅0.5ms。
振動試験は落下試験と同じひずみを与える振幅のSIN波。
<落下と振動のひずみ>
<試験結果>
高温ではひずみ速度効果が少なく、よくなるはずだが、
温度上昇でPWBのひずみは増加。
・破壊モード
落下と振動の破壊モードは同じ。
部品側IMC層亀裂とCuパッド下の樹脂コートCuの亀裂が確認される。
IMC亀裂だけが電気的故障を起こす。
IMC亀裂は
Cu6Sn5 IMC層
はんだとCu6Sn5の界面
Cu6Sn5 IMC層付近のはんだ
の3つが認められ発生はIMC層の形態に大きく依存。
SAC+Bi、Ni 落下と温度
1) 落下信頼性は温度とともに減少。
2) Cu/OSP PWBがNi(P)/Au PWBより良い。
3) 室温ではSnAgCuNiがCu/OSP PWBで最も良く、SnAgCuはNi(P)/Au PWBで最も良い。
破壊モードは
SnAgCuとSnAgCuBiの破壊モードは温度で相互接合界面亀裂からCu配線亀裂へ変化。
SnAgCuNiの破壊モードは温度、パッド材料に関わらずCu配線亀裂。
はんだによる違いは
Cu/OSP PWB・・・SnAgCuとSnAgCuNiが同等でSnAgCuBiより優れている。
Ni(P)/Au PWB・・SnAgCuが最も信頼でき、SnAgCuBiがこれに次ぎ、SnAgCuNiが最も劣る。
昇温ではPWBパッド電極によらずSnAgCuが最善でSnAgCuNiが最悪。
β値(ワイブル曲線の傾き)で破壊モードが分かれる
高β(3.8以上)・・・すべてパッド端のCu配線亀裂
低β(1.9以上)・・・PWB保護膜に依存
Cu/OSP PWBアッセンブリ・・・ 部品側IMC層、(Cu,Ni)6Sn5 IMC層内を亀裂伝播。
*部品側UBMは明記ないが両方とも他同様にNi/Auと思われる。
Ni(P)/Au PWBアッセンブリ・・・ Ni(P)と(Cu,Ni)6Sn5の間の非常に狭い反応帯。
室温ではすべて低β、一方110℃ではすべて高β
高変形速度での温度の影響
高Snはんだはひずみ速度硬化を起こす。
その結果応力は界面付近のはんだ相互接合端に集中しIMC層の脆性破壊強度を超える。
昇温によるPWBの曲げ増加とはんだ相互接合強度低下ではんだ相互接合の応力分布が変化。
このため部品側界面領域の引き剥がし応力が低下し、PWBCu配線の塑性ひずみ増加。