(8−2) 組織とはんだ付け、環境条件
(8−2−1) SAC系はんだの微細組織
@ SAC系はんだの典型的微細構造
SAC系Pbフリーはんだの典型的微細構造は
荘司ら
のような組織を呈する。
あるいは下記のようにβSnを共晶構造がネットワーク状に取り囲んだ微細構造をよく見かける。
Cheら
NIST
3元共晶組織(針状:Ag3Sn、板状:Cu6Sn5) 共存組織
共存組織 (1):βSnデンドライト、(2):βSn+Cu6Sn5、(3):βSn+Ag3Sn
SACの微細構造はこのようにデンドライトβSnを共晶構造がネットワーク状に取り囲んだ構造とされる。
しかし断面では立体構造は正確にはわからない。
A SAC系はんだの立体構造
IBMのKangらによる立体構造例は
Kang IBM
微細構造は形状、寸法、接合状態などで種々変化する。
B SACはんだのコロニー構造
カリヤ
Toux
SAC357
Pecht
リフロー上がりの相互接続組織
数個のコロニーを含み、コロニーはSn粒の集まりで、コロニー内のSn粒はほとんど一様な配向で容易に区別できない。
コロニーは粒界の大きな配向(結晶方位)の違いで容易にわかる。
コロニーと大傾角粒界及び小傾角粒界
以上のようにSAC合金ではデンドライトはしばしば同じ結晶方位でコロニーcolonyとして集まる。
ここで2つの粒界の結晶軸のなす角度、方位角の差(傾角、ミスオリエンテーションmisorientation)によって小さいもの(通常15°以下)を
小傾角粒界と呼び亜粒界(あるいは領域界domain boundary)と称されるものでもある。
大きいもの(15°以上)を高(大)傾角粒界と呼び、通常の粒界grain boundaryに対応する。
以上は相(結晶構造)が同じ場合だがもちろん相が異なる場合もある。
コロニー間は大傾角粒界をなし、コロニー内のデンドライト(あるいは柱状セル)同志は小傾角粒界をなす。
Toux
C 結晶粒の観察 交差偏光像
結晶粒を確認する手段として良く利用されるのが直交偏光像である。
Mattila
Kang IBM
Mueller
SACのBGAでは60°双晶界よりなるKaraのビーチボールと称される、凝固集合組織が良く観察されるという。
Eaton
D OIM−EBSDによる粒界観察
もっと明確に粒界性格を示す手段が電子後方散乱回折EBSDによる粒(結晶方位)観察(結晶方位像解析装置OIM)である。
Krause
日本鋼管 寺島
傾角の違いによるマッピングでは境界の性格(粒界>15°>亜粒界)がはっきりする。
E 金属の凝固形態
金属の凝固組織は凝固条件で変化することが知られている。
西谷
G:温度勾配°K/mmとV:成長速度mm/s、GV:冷却速度°K/s
あるいは
Alsoruji
組成的過冷却で
セル(柱状セル)→(柱状、セル状)デンドライト→等軸(デンドライト)
F SACのデンドライト組織と等軸組織
SACでは通常デンドライト組織が見られるが特殊な場合に等軸組織が見られるという。
Zeng SAC387
Weiqun Peng
(8−2−2) 組成による変化
寸法効果 荘司 群馬大
微細寸法(径0.5mmx2mm)試料の微細組織とバルク組織
亜共晶、共晶、過共晶に相当、亜共晶から過共晶になるに従い、βSnは微細になり、過共晶では針状となる。
マイクロ・サイズ試料よりバルク試料のβSnが粗い。
菅沼
急冷 中冷 徐冷
Agが3.5%を越えると巨大なAg3Snが晶出しやすくなる。
Pandher
Ag、Cu増加でデンドライトβSn微細化、更にデンドライト消失
(a)Sn-3.0-0.5Cu (c)Sn-3.7Ag-0.9Cu (b)Sn-3.9-0.6Cu (d)Sn-3.6Ag-1.0Cu
Song Cu量の影響
Sn-3.5Ag-xCu
Cuの影響
Sn-3.5Agへの0.5Cu添加で結晶相(βSn?)粗大化、1.0Cuで微細化。
Shin (クリープの影響)
クリープ後
q wang
Mueller
組成効果
SAC387が最も粗い。
Zhang Auburn大
SAC105
SAC205
SAC305
SAC405
Reid
各種SACの光学像例
SAC405だけが他と異なり、SnマトリクスにIMCが密に分散した構造。
苅谷ら(
Shnawahから)
FC相互接続
寺島ら
寺島
電極 基体:無電解Ni(P)/電解0.1μmAu、Si:Cr/0.5μmNi/0.2μmAu
苅谷
Pandher