(8) はんだへの添加成分の影響

(8−1) 強度向上、耐酸化性向上

(8−1−1) 分散強化
 SnとIMCを形成し共晶反応を呈する成分の添加が考えられる。
 この場合、過共晶ではファセット相を示す巨大な初晶IMCが晶出し、かえって応力集中の原因等となる。
 またIMCは安定なものが良い。
 IMCの性質→(10−1) Pbフリーはんだと金属間化合物IMC

主なIMCの融点
融点K 共晶組成(wt%)
Cu6Sn5(η)  688 0.7
Ni3Sn4 1069 0.02
AuSn4  525 10
PdSn4  568 0.5
PtSn4  795 0.8
FeSn2  786 0.01
CoSn2  798 0.5
Ag3Sn  753 3.5
Mg2Sn 1043 2.13
YSn3  788
MnSn2  823 0.1
Ti6Sn5 1769 0.1
HfSn2 1800
CeSn3 1435
DySn4  715
YbSn3 1078
LaSn3 1430 0.01
βSnSb (515)
CuAl2(θ) (821)

 Ag、Cu、Ni、Coなどがおもなものであるが、Agが共晶組成が比較的大きく、良く利用されれる。
 例としてSnーPb−Ag、Sn−Bi−Agなど。
 他にMn、Ti、RE(Ce、La)などが検討されている。

SACの組成と特性
Che (2007)



Pandher



Song Sn−3.5Ag−xCu X=0、0.5、1.0、1.5
 


 *Ag、CuではIMCの分散量(共晶組織)とともに結晶粒寸法も変化している。

(8−1−2) 固溶強化

 Snは一般的に常温での固溶が少ないが、なかで比較的固溶量が多いのはZn、Sb、Bi、In、Ga、などで
Sb、Biなどが利用される。

kariya



Sn−Zn
 

 Sn-Sb


 Sn--Bi
  
     
 Sn−In
 

Gaの常温付近の固溶度は6.4原子%


KaistのSeo


固溶強化



Moser

 SEM images of the deeply etched solders of various Sb contents


Gouda







Song
 共晶Sn−Zn+Ga


(8−1−3) 析出強化

  固溶度が多く、固溶度の温度変化の大きいものはBi、Sb、AlなどであるがSnとIMCを形成するのはSbである。

菅沼ら

 初晶βSnにも微細なラメラ状Bi(固相からの析出)

(8−1−4) 添加成分同士による析出強化

  CuとAlの例がある。
Lin 

 b:Cu9Al4(γ2)                                 a:Cu9Al4(γ2)

a:Cu9Al4(γ2)

 b:Cu−Al(CuAlまたはCu11Al9?)

Boesenberg
Cu33Al17

佐藤

 Cu/Al



Li
 
 SnAg、SACでははんだバルクにAg−Al IMCが存在。


(8−1−5) 結晶粒微細化

  結晶粒微細化は冷却速度を速くして、過冷却を大きくするか、核生成の場、異質核(種)を生成させる(IMCなどの晶出)
 ことによって行われる。
  (加工→熱処理)再結晶による方法もあるがはんだ接合では採用できないだろう。

Sweatman




 熱分析試料



SAC−Ti
 SA355




Pandher
 

ECAP
 強加工(ECAP:等径角度付き押し出し)により結晶粒微細化したSAC387で





戻 る 目 次 次 へ


inserted by FC2 system