(11−6−11) UBM

  ここではUBMの問題を簡単に扱う。UBMは特殊なはんだ付け用電極と考えられる。
  UBM:Under Bump Metallurgy(Under Barrier Metalとも)の略でBLM:Ball Limiting Metalと称することもある。
  UBMはSiチップ上のAl電極にはんだバンプを形成するために介在させる金属層で、Alとはんだの反応を抑制し、膨張率を調整し
 また応力を緩和し、かつよくはんだに濡れ、はんだ付けされるように複数層で構成される。
  通常、下地金属(Cr、Ti、TiWなど)、はんだ付け(濡れ)金属(Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ptなど)、保護層(Au、Cuなど)からなる。
  膜応力の関係上、各層の膜厚はあまり厚くできない。
  従ってはんだ付け金属ははんだと良く接合しかつはんだバリア層と働くことが好ましいので、はんだとの反応の遅いNiあるいは
 Ni合金(Ni−Vなど)、Cr−Cuなどが良く利用される。
  Cuの場合はんだと完全に反応した場合の界面特性が問題となる。


国立交通大Shao
 バンプ化ダイをはんだ印刷した基板パッドとFCB(下図)
 はんだ共晶SnPb、Sn−3.5Ag、SAC387、Sn−5Sb
 リフロー温度SnPb210℃、SnAg,SAC℃250、SnSb℃280
 ダイ側にCr−Cu(合金?)使用。
 UBM直径105μm


共晶SnPb


 2回目リフロー(バンプ化ダイの基板付け)


 FCBで各対向電極の影響(交互作用)が発生。
 ダイ側のIMCにNiが固溶し、基板側の界面にはCuが固溶したNi3Sn4の他にNiが固溶したCu6Sn5が形成。

Sn3.5Ag

 バンプ化ダイではCuが薄いのでIMCの剥離発生。
 バンプ化基板では針状と塊状の2種類の形態のNi3Sn4 IMCが生じている。

 2回目リフロー(バンプ化ダイの基板付け)


 ダイ側IMCはほとんど剥離。

Sn5Sb


 2回目リフロー(バンプ化ダイの基板付け) 

 (a)、(c)もエッチング処理

SAC387

 ダイ側IMCは一部剥離。ダイ側IMCにNi検出されず。
 *基板側にはCu6Sn5が形成されていない!

 2回目リフロー(バンプ化ダイの基板付け)

 剥離が更に激しくなる。
 基板側に(Cu,Ni)6Sn5形成。


 SnPbとSACでNi置換がおこっていない。


Jang Jang
 
 バンプはめっきで形成。TiWはTi−90wt%W、
 Cu消費によるIMC剥離防止のためにはCu>5μmであるが厚くすることにより応力が発生し亀裂の源となる。
 Cr/CuではCuが消費されるとはんだはCrと不濡れをおこすので傾斜phasedCr−Cu、しかしこれは長時間リフローで
IMC剥離。そこでここではCr−50wt%Cu合金をスパッタ。
 マグネトロン・スパッタ効率改善のため7−8%VをNiに添加。



 NiV/CuではIMC剥離は生じないが長時間リフローでバンプが失われ、残った層はAlから取れる。
 CuとNiの消費でバンプ不濡れを生じることがIMC剥離が生じてもバンプがとれないCr/Cr−Cu/Cuと異なる。


 Cr/CrCu/Cuでは両者とも剥離発生。しかしバンプがパッドから分離することはない。
 TiW/NiVではSn−3.5AgでNi3Sn4 IMCが剥離、

 長時間リフローによるNi−Snの剥離、TiWはSnを含んで最初の0.2μmから0.8μmに膨らむ。


 Cr/Cr−Cu/CuではCu−Sn IMCが剥離してから欠乏したCr−CuへSnが拡散。
 NiV/CuではNiVが残っている。
 TiW/NiVではNi−Sn IMCとV−Sn混合層が分離、Vは当初に位置を維持、そこへSnが拡散。

 Cu、Niが薄く、下地がCr、TiWにようなはんだに濡れない層だと長時間リフローでIMC剥離が生じる。
(溶融はんだの流動性で)


Jang




 Jang
 


 #1、#2、#3は(b)と同様。TiW/Cu3000Åでは界面にIMC層は存在しない。




 長時間リフローの結果
  #1(a),#3(c)はIMCが剥離、#2(b)と#4(d)はIMCが分離しはんだに膨れていっている。
  Cr層(白)が剥がれてCuは消費されている。
  #5(e)もIMC剥離するがIMC量は少ない。#6(f)では界面のIMC存在しない。



長時間エージングの結果
 総Cu厚0.8μmの#1〜#4は連続的なCu−Sn IMC層存在。IMC剥離やCr剥がれはない。
 Cuが薄い#5、#6ではIMCは不連続。

Liu 1999
 Sn−Pb共晶はんだボール




Hooghan 2003

 下地Crは150nm、Cr−Cuは純Crから純Cuの傾斜組成(同時デポ)で300nm。Cuは150、600、1000nm。
 Au(厚み?)のあと95PbSnはんだを蒸着。基板のFCパッドには2.5μmの共晶組成Sn−Pbをコート。
 約340℃でバンプ化したダイを220℃の窒素雰囲気で基板とリフロー。
 150℃で加速試験。

Cr層が1.5〜3μmと厚くなっている。


Jang 共晶Sn−Pb









パッド層のアンダーカット


 レジスト規制(レジスト被り)構造がなにかと良い。

Zeng Zeng 





 AuがNi(V)/Cu UBM消費促進 
  IMC剥離→Ni(V)層が完全溶解
  Auが存在するとCu6Sn5が球状になり、Ni(V)がはんだに露出
 *図が別々、この説明は?


 NiがCu6Sn5により消費
  Ni/はんだ/Cuの構成ではCu6Sn5がNiを溶解するためNiがポーラスになるという。

 *Zengの説明は疑問

Zeng 




 リフロー上がりではCu3Snが形成されボイド生成。







 パッチ状溶解

*Snパッチ
Sn−patch
 Ni(V)を基礎とするUBMでのNi(V)層でのSnリッチ領域
 Cu6Sn5の粒界付近の拡散の速い場所に形成。
 Niがはんだ中へ、はんだのSnがNi(V)へ拡散し、
リフローで結晶質NiとアモルファスSnリッチ相が形成され、熱エージングで
アモルファスなSnリッチ相とV2Sn3相となる。Snパッチ領域はやがてNi層全体に
拡大していく。

 




 200℃、1000h




石川 NiV
 複数リフローの影響 剥離の発生






 IMCの剥離ははんだとUBMのCuとNiの総量に影響される。
 (Cu,Ni)6Sn5形成ではんだのCu量が減少し、(Cu,Ni)6Sn5の下にNi3Sn4が形成されるのがIMC剥離の理由。


 Ni3Sn4形成とともにNi3Sn4と(Cu,Ni)6Sn5の間にボイドが形成され剥離が始まる。
 NiVではNi3Sn4形成は抑制され、耐剥離性をもつ。




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