Pbフリーはんだの金属学的基礎


備考 1

〔1〕 フラックス

<1−1> フラックスの役割
  
  フラックスは
   電極(ランド、リード等)、はんだの酸化膜、その他表面皮膜や汚れを除去し、金属表面を清浄化(活性化)する、
   溶融はんだの表面張力を低減する、
   清浄化した金属表面を保護し、再酸化を防止する、
  ことによりはんだの電極への濡れあるいは反応性を向上させ、また
   はんだ付け部の熱の伝播を促進し、温度の均一化を助ける、
 などの役割を有する。

<1−2> フラックスの種類

 フラックスは通常、樹脂系フラックス、(有機)水溶性フラックス、無機(水溶性)フラックスに大別される。

・樹脂系フラックス
  基材がロジン(松脂)、その変性樹脂または合成樹脂などの水に溶けない樹脂。
  基材に活性剤およびその他を添加し、アルコール、グリコール、グリコールエーテルなどの溶剤に溶かしている。
  無洗浄が多いが、洗浄する場合はグリコールエーテルと界面活性剤を含む洗浄剤が使用される。
  グリコールエーテルは水溶性でロジンをよく溶かす。
  
・(有機)水溶性フラックス
  基材をポリアルキレングリコール、グリセリンなど(多価アルコール)の水溶性のものとし、
 有機酸、有機アミン・ハロゲン化水素酸塩、有機酸・アミン塩等の水溶性活性剤とを溶剤(水溶性アルコール)に溶かして
 粘度調整しているもの、
  溶剤に水溶性有機系活性剤を溶かしたもの、
  基材を水として水溶性有機系活性剤を添加しているもの、
 などがある。
  水洗浄を行う。

 *水溶性フラックスはウェーブ用、一方、水溶性はんだ・ペーストでは溶剤は有機溶剤、リフロー後残渣が水溶性、
 はんだ・ペーストの溶剤を水にすることは困難。

・無機フラックス
  活性剤が塩酸などの無機酸や塩化亜鉛、塩化アンモニウムなどのハロゲン化物などの無機系材料。
  活性剤を水およびグリセリンなどに溶かしている。
  洗浄が必要。
  プリント配線板や電子部品のはんだ付けには使用されない。
  
・その他のフラックス
 
 合成活性化フラックス
  残渣がハロゲン化溶剤(CFC)で洗浄できる高活性な非ロジン系有機フラックス。

 無洗浄no clean、低残渣low resueduタイプ
  低固形分でロジン5%程度の無あるいは低ハロゲンの樹脂系フラックス。

 低VOC化
   VOC化としては溶剤を水にする方法と沸点が400℃を超える溶剤とする方法がある。

 軟残渣フラックス
  松脂系のフラックス残渣は硬く、亀裂が生じたりする、あるいはピン・コンタクトができないなどの点が問題とされる場合もあるので
 軟らかく、ややネバネバした軟残渣フラックスというものが使用されることがある。
  熱可塑性アクリル樹脂などが添加されている。

 失活性フラックス
  活性剤中のイオン性ハロゲンを共有結合化させたりカルボキシル基を熱架橋により硬化させたりして無害化、失活化させる
 失活性フラックスと称するものが出てきている。アクリル樹脂、スチレン・マレイン酸樹脂などが添加される。


*水溶性ロジン
  によるとロジンをアルカリの添加により水溶性化、揮発性アルカリを使用し、乾燥後は非水溶性化。




<1−3> ロジン(松脂)

<1−3−1> 天然ロジン
 ロジン(松脂)はアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマール酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸などの
有機酸を主成分とする。
 酸価(mg・KOH/g・flux)は170前後、軟化点は70−80℃、融点は150℃前後。
 ロジンは溶融状態である程度活性を示し、常温で無活性となり、腐食性活性剤を包み込み無活性化する。
 ロジン単独でもある程度活性作用はあるが弱いため、通常フラックスはより強い活性作用をもつ活性剤を添加する。
 

  ガムロジン:松の木の幹に傷をつけ採取した松脂原料を分離・精製して得る。
  ウッドロジン:伐採した松の根をチップ状にしたものから溶剤抽出・分離して得る。
  トールロジン:松からパルプを作るときの副産物。

 松やには300−400℃で分解し、分解生成物として脂肪族アルデヒド、アセトン、メタノール、CO2、CO、メタン、エタン、
有機酸などを生じる。
 温度が高いと炭化したりタールが生成したりする。

 アビエチン酸のIRスペクトルは他のカルボン酸同様に2900cm−1付近にOHの、1700cm−1付近に=C=Oの吸収がある。

 
   アビエチン酸のIRスペクトル

 
    アジピン酸のIRスペクトル

RITE
 アビエチン酸
 FTIR、KBr錠剤
 ピーク(/cm):2934,2869,1690、1462、1283

 質量スペクトル

 クロマトグラフ




 FTIR
  


  

<1−3−2> ロジン誘導体

 天然ロジンは軟化点が低く、脆いのでロジンの変性体(誘導体)が良く利用される。
  水添加ロジン、重合ロジン、、フェノールやアクリル酸、マレイン酸等による変性樹脂などがある。
  水添加ロジンは共役二重結合の酸化による変質、変色を改善、安定化する。
  重合ロジンでは軟化点が90〜150℃と高くなる。
荒川化学によると
 

<1−4> フラックスの用途

<1−4−1> はんだペースト(クリームはんだ)

 メタル・マスクで印刷し、リフローで主に使用するタイプで、一部シリンジ(注射器、ディスペンサ)装入タイプがあり塗布印刷のほか、
手はんだ付けなどでも使用する。
 はんだペーストは、はんだ粒子とフラックスの分離抑制、メタル・マスクでの印刷性、電子部品の粘着性(タッキング性)、印刷後あるいは
予備加熱で形がくずれない形状維持性、はんだボールが発生しない、腐食性がなく電気絶縁性がよいなどの性質が要求される。
 そのため主に樹脂系フラックスが利用され、通常は無洗浄。
 
 フラックスは基材の樹脂、溶剤、活性剤、チキソ剤などよりなる。
 高沸点溶剤47%、ロジン45.5%、活性剤3.5%、チキソ剤4.0%が代表的組成。
 樹脂系フラックスでは水分が存在するとボイドや飛散、はんだボールの原因となる。
 
 ・樹脂
   酸価(カルボキシル基)を有する松脂などの天然樹脂(ロジン)、合成樹脂(レジン)。
   多くは溶融状態である程度活性を示し、常温で無活性となり、腐食性活性剤を包み込むか反応で無活性化する。

   ロジン、ロジン誘導体
    ロジン(松脂)およびロジン誘導体としては重合ロジン、水素添加ロジン、フェノール変性ロジン、マレイン化ロジン、
   アクリル化ロジンなど。

   レジン(合成樹脂)
    アクリル樹脂、ポリエステル樹脂など。

 ・活性剤
   酸化物その他の表面に存在している皮膜、汚れを除去。
   主なものは
    ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩などの(有機)アミン・ハロゲン化水素酸塩
    臭素化アルコールなどのハロゲン化アルコールXROH(非イオン性有機ハロゲン化物)
    アジピン酸のようなジカルボン酸などの有機酸
    アミン・有機酸塩
   有機アミン(アルコール・アミン、アルキル・アミンなど)、アミドは活性力が弱く、活性剤というより洗浄剤。
   アミンのハロゲン化水素酸塩は150−200℃前後で活性化するものが多いが、有機ハロゲン化物はそれより高い
  200−230℃前後で活性化する。そのためPbフリーはんだでは有機ハロゲン化物がよく使用される。
   特にはんだペーストではアミン・ハロゲン化水素酸塩の量が多いとPbフリーはんだ粒子とフラックスが反応しやすく、粘度上昇を
  招きやすいのでその意味でも有機ハロゲン化物の使用が多くなっている。

 ・溶剤
   高沸点、低粘度の溶剤が使用される。
   グリコール(多価アルコール)、グリコールエステル、グリコールエーテル、例えばカルビトール、セルソルブなど。

 ・チキソ剤
   流動性を調整し、印刷性向上、だれ防止、はんだ粒分離抑制、粘着性(タッキング)などの役割を果たす。
   ひまし油、水素添加ひまし油(カスターワックス)、蜜蝋などの高級脂肪酸エステル類、酸アミド類。

 ・その他
   表面活性剤、酸化防止剤など。

パナソニックによると

分析例によると


荒川化学


<1−4−2> ポスト・フラックス(液状フラックス)
 フローはんだ付け、HAL(レベラー)処理などに主に使用されるもので、通常は無洗浄なので樹脂系が主である。
 発泡、スプレーなどで塗布するため展延性、付着性が必要で粘度調整が必要である。

 溶剤としてイソプロピルアルコール(IPA)約85%、ロジン12.5%、活性剤2%、つや消し剤(長鎖脂肪酸)0.5%が代表的組成。
 その他発泡剤、酸化防止剤などが添加される。
 低残渣タイプはロジン5%程度。

<1−4−3> ヤニ入りはんだ
 溶剤を含まない樹脂系フラックスが使用されている。
 ロジン95.0%、活性剤5%が代表的組成。

<1−4−4> プリフラックス
 PCBの表面処理のひとつとしてプリフラックスがある。
 従来の一般的なものはロジン系フラックスであるが
 OSPorganic solderability preservativeあるいは耐熱プリフラックス、水溶性プリフラックスと称するものが良く利用されるようになってきた。
四国化成

 これはイミダゾール化合物を主成分とする。


<1−5> フラックスの規格

<2−5−1> 米軍規格MIL−F−14256Fあるいは米連邦規格QQ−S−571F
 フラックスの性質を示すのにR、RMA、RAという呼称がよく出てくる。
 これは米軍規格MIL−F−14256Fあるいは米連邦規格QQ−S−571Fに由来するものであるがこの規格自体は
1995年に取り消され、J−STD−004、005、006が参照されることになった。
 しかしなおR、RMA、RAという呼称はよく使用されるのでこの規格を紹介する。

分類
定義 通称
ロジン・フラックス(ロジン:松脂) 非活性フラックス
RMA 温和mildly活性activatedロジン・フラックス 弱活性フラックス
RA 活性activatedロジンまたはレジン・フラックス 活性あるいは強活性フラックス
WSF−0 有機水溶性フラックス、
ポリグリコールを含まない。
水溶性フラックス
WSF−1 他の有機水溶性フラックス、
ポリグリコールを含む。
水溶性フラックス
LR 低残渣フラックス。
低固形分、ハロゲン化物を含まない。
低残渣フラックス
(AC) 非ロジンまたは非レジン・フラックス
(酸、有機塩化物、無機塩化物等を含む)
ASTM B−32ではIS
 

クロム酸銀紙試験 ハロゲン(Cl、Br)・イオン量 フッ化物 銅鏡試験 腐食試験 表面絶縁抵抗SIR
合格 検出不能 検出不能 突破なし 腐食なし
RMA   0.040m当量/固形g   突破なし 腐食なし
RA 通常不合格 0.284m当量/固形g     腐食なし
WSF−0   0.284m当量/固形g      
WSF−1         
LR 合格 検出不能 検出不能 突破なし 明るい青、緑、青緑は許容

フラックス活性度 
低、無フラックス/フラックス残渣活性
中フラックス/フラックス残渣活性
高フラックス/フラックス残渣活性

主な試験
 ハロゲン化物含有量(Cl、Br、F)
  クロム酸銀紙試験 
   ハロゲン化物に反応、白からずれて黄色化。
  →Cl、Brの定量  IPC−TM−650 2.3.33
  フッ化物含有量試験 IPC−TM−650 2.3.35.2
 銅鏡試験 IPC−TM−650 2.3.32
  銅の除去具合から判定
 表面絶縁抵抗 IPC−TM−650 2.6.33
 腐食試験(純銅板) IPC−TM−650 2.6.15

*ASTM B 32 は非電子用の規格でR、RMA、RAのほかに
 OA(有機酸):水溶性有機物質より構成
 OS(有機塩):非水溶性有機物質より構成
 IS(無機塩):無機塩、無機酸より構成
 が定義されている。

*そのほかの通称
 
 RSA:超活性ロジン
 SA:合成活性化
 IA:無機酸
 などが使用されている。

<1−5−2> ANSI(IPC) J−STD−004あるいはIEC 61190−1−1

 活性度から(IPC−SF−818)
  
低活性
中活性
高活性
 
 これを0:ハロゲン無、1:ハロゲン有で分類

分類と試験要求
銅鏡 銀クロメート(Cl、Br) フッ化物スポット試験 ハロゲン化物量 腐食試験 SIR100MΩ合格条件 ECM要求合格条件
L0 突破無 合格(pass) 合格 <0.05重量% 腐食無 不洗浄 不洗浄
L1 合格 合格 <0.5重量%
M0 50%以下
突破
合格 合格 <0.05重量% 小腐食
許容
洗浄または不洗浄 洗浄または不洗浄
M1 不合格(fail) 不合格 0.5−2.0%
H0 50%以上
突破
合格 合格 <0.05重量% 大腐食
許容
洗浄 洗浄
H1 不合格 不合格 >2.0重量%
 SIR:表面絶縁抵抗、ECM:電気化学マイグレーション、0%は0.05重量%以下。

 組成から
ロジン
RO
レジン
RE
有機
OR
無機
IN
 が定義されこの組み合わせで表示が決められる。

活性度(ハロゲン重量%) 表示 ISO表示
ロジン
RO
低(0)        L0
低(<0.5)     L1
中(0)        M0
中(0.5−2.0)  M1
高(0)        H0
高(>2.0)     H1
ROL0
ROL1
ROM0
ROM1
ROH0
ROH1
1.1.1
1.1.2W、1.1.2.X
1.1.3W
1.1.2.Y、1.1.2.Z
1.1.3.X
1.1.2.Z
レジン
RE
低(0)        L0
低(<0.5)     L1
中(0)        M0
中(0.5−2.0)  M1
高(0)        H0
高(>2.0)     H1
REL0
REL1
REM0
REM1
REH0
REH1
1.2.1
1.2.2W、1.2.2.X
1.2.3W
1.2.2.Y、1.2.2.Z
1.2.3.X
1.2.2.Z
有機
OR
低(0)        L0
低(<0.5)     L1
中(0)        M0
中(0.5−2.0)  M1
高(0)        H0
高(>2.0)     H1
ORL0
ORL1
ORM0
ORM1
ORH0
ORH1
2.1.、2.2.3.E


2.1.2、2.2.2
2.2.3.0
2.2.2.
無機
IN
低(0)        L0
低(<0.5)     L1
中(0)        M0
中(0.5−2.0)  M1
高(0)        H0
高(>2.0)     H1
INL0
INL1
INM0
INM1
INH0
INH1
不適用
ISOの無機フラックスは別

R、RMA、RAとの対応
L0 すべてのR、一部のRMA、一部の低固形”無洗浄”
L1 ほとんどのRMA、一部のRA
M0 一部のRA、一部の低固形”無洗浄”
M1 ほとんどのRA、一部のRSA
H0 一部の水溶性
H1 一部のRSA、ほとんどの水溶性とSA(合成活性化)

なおIEC 61190−1−1〜3の活性度は
ハロゲン化物量
L0 <0.01
L1 <0.15
M0 <0.01
M1 0.15−2.0
H0 <0.01
H1 >2.0

<1−5−3> ISO 9454−1あるいはJIS

ISO 9454−1のフラックス分類
フラックス型 ベース 活性剤 形状

レジン

松脂
1 非添加

2 ハロゲン活性

3 非ハロゲン活性
A 液体



B 固体



C ペースト

非松脂

有機

水溶性

非水溶性

無機

1 塩化アンモニウム
2 非塩化アンモニウム

1 リン酸
2 他の酸

アルカリ
1 アミンと、またはアンモニア

要求 9454−2
タイプ ベース 活性化 コード 銅鏡試験 ハロゲン化物 銀クロメート 鋼管腐食 銅腐食試験

レジン

松脂
(ロジン)

活性剤無添加


ハロゲン化物活性化


非ハロゲン化物活性
1.1.1
1.2.1
合格 0.01max 合格 合格 合格

非松脂
(レジン)
1.1.2

1.2.2
合格 0.05max 合格 合格 合格
0.15max 合格
1.0max 合格
>1.0
1.1.3
1.2.3
合格 0.01max 合格 合格 合格
0.01max 合格

タイプ ベース 活性化  コード 銅鏡試験 ハロゲン化物 銀クロメート 鋼管腐食 銅腐食試験

有機
1水溶性



2.1.2 >0.01

非水溶性
2.1.3 合格 0.01max 合格 合格 合格
2.2.2 >0.01
2.2.3.E 合格 0.01max 合格 合格 合格
2.2.3.O 0.01max
E:電子用、O:非電子用

ハロゲン化物量 Zn量 アンモニア量

無機


塩化アンモニウム有
3.1.1 公称±5% 公称±5% 公称±5%
1.0%min

塩化アンモニウム無
3.1.2 公称±5% 公称±5% 1.0%max


リン酸
3.2.1 0.05%max

他の酸
3.2.2

アルカリ

アミン、アンモニア
3.3.1


JIS Z 3284(1994)のフラックス分類(ペースト)
主剤 活性成分 フッ化物含有
(1) 樹脂系 1. ロジン
a. 変性ロジン
2. 合成樹脂
1.無添加
2.アミンのハロゲン酸塩
3.有機酸、アミン有機酸塩
F(有)

N(無)
(2) 有機系 1. 水ベース物質
2. 溶剤ベース物質
(3) 無機系 a. 水溶性物質 a.アンモニウムハライド
b.ハロゲン化亜鉛
c.ハロゲン化錫
d.リン酸
e.ハロゲン化水素酸
b. 非水溶性物質

 この規格による定義では
 ロジン (rosin): 松の木などのオレオoleoレジンから抽出し精製した天然の硬質樹脂で,酸価が 130 以上
のガムロジン、ウッドロジン又はトールオイルロジン。
 レジン (resin) :フラックスに使用される天然又は合成の樹脂性物質。

活性度(品質)分類
記号 活性度 Cl量% 絶縁抵抗1* 絶縁抵抗2* 銅板試験 銅鏡試験
T 0.03以下 1011Ω以上 5x10Ω以上 腐食ナシ 腐食ナシ
U 0.03を超え0.1以下 1011Ω以上 1x10Ω以上 腐食ナシ
V 0.1を超え0.5以下 1011Ω以上 1x10Ω以上 腐食ナシ
1*:40℃、湿度90%、168時間、2*:85℃、湿度85%、168時間

やに入りはんだ(JIS Z 3283:2006)では分類として樹脂系だけが規定。

やに入りはんだのフラックス等級
記号 活性度 ハライド量(重量%) 銅板腐食 銅鏡腐食
 AA  低 0.1以下 腐食が大でない 標準液と比較し大でない
  A  中 0.1を超え、0.5以下
  B  高 0.5を超え、1.0以下


Vivari EF

 *NC:無洗浄、WS:水溶性


 

<1−6> 洗浄後のフラックス残渣

 洗浄後の白色残渣は以下のような原因で生じる。
  ロジンの酸化
   酸化雰囲気で2重結合による過酸化物、ケト化合物形成。
  ロジンの高分子化。
   加熱による。錫酸化物や積層板の不純物などが触媒となる。
  ロジンの水素化(吸湿による)。
  はんだ、電極(ランド)の金属とフラックスのカルボキシル基との反応による不溶解性金属塩生成。
   褐色はアルコール存在下で生成。
  錫、鉛とハロゲン活性剤による金属ハロゲン化物の形成。
   空気中のCO2、水分で炭化物形成、腐食サイクルを形成(塩化物とCO2と水分で炭化物とハロゲン化水素が
   形成され金属と反応し塩化物形成)
  ロジンのカルボン酸によるエステル化は起こりにくいが250℃以上でグリコールがあるとロジンエステル形成。

  はんだにより生成する金属塩の水への溶解度と色
  
  *Resinateは主にアビエチン酸塩

  
Huang
 



アルファ
 

       




<1−7> フラックス等のIRスペクトル

EAG


ロジン


テナガ国立大
 
   無洗浄サンプル ベンジル・アルコールが存在
 

 洗浄サンプルと抽出液(IPAと脱イオン水)

 日本分光


*フラックス残渣腐食性試験

BONO試験





〔備考〕

◎ はんだとフラックスの毒性およびはんだ付け環境での健康問題


目 次


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