マンハッタン計画
 航空・軍事分野のPbフリー電子化



MANHATTAN計画 Phase1 2009 

3. 設計

3.1 序
 SnPbとPbフリーの信頼性比較




 高温、低温の保存、高速ひずみ、Snペスト、パッド・クレータリングなどが劣るあるいは悪化が懸念されている。

3.1.1 鍵となる設計配慮






 *CCA:circuit card assembly、IPCはアセンブリ(部品搭載)された基板をCCAと呼ぶのを好むという。

問題点issue
 はんだ
  多くの合金がある:共晶が好まれる。
  合金成分の複雑さ:特性と微細組織が組成変化に敏感。
  材料特性:はんだ接合サイズ・スケール・モデルが役立たない。
  疲労モデル
  加速試験
  工程温度:数度のはんだ付け温度がPCB材料とCu溶解に重要。
  SnPbとの両立
  他のPbフリー合金との混合
  スズ・ウイスカの危険性
  スズ・ペスト
  Cu溶解
  実用経験と実用故障データ
 部品
  温度能力
  内部構成材料
  外部めっきと端子材料:Snウィスカ危険性
  モールド化合物
  信頼性データ
  SnPbはんだとの両立性
 PCB
  積層laminate選択:
  表面処理
  必要リフロー数:製造、リワーク(修正)、リペア(交換)、はんだリフロー等に適応する十分な要求
  熱サイクル数
  耐Cu溶解要求:製造、リワーク、リペアはんだリフロー等に適応する十分な厚み
  製造性
 CCA(回路カード・アセンブリ)
  設計はんだ応力水準
  部品搭載
  製造性
  維持:リワークとリペアを考慮
  Snウィスカ緩和

3.2 要求

 Pbフリーはんだは一貫してSnPbと同等あるいはより良いわけではない。

 Pbフリーはんだは衝撃、落下または曲げでSnPbの50%以下までの荷重で破壊する。


3.2.3 システム限界要求
 
 (理解の)隔たり:Pbフリーで悪化する欠陥
  回路のショート、オープン、断続的故障など
   新現象
    パッド・クレータ(PCB配線破壊)、Snウィスカ
   悪化
    高温プロセスで
     CAF発生増
     低表面絶縁抵抗
     湿度に敏感な部品の亀裂
     部品湾曲(エリア・アレーの枕不良など)
     多層セラミックキャパシタ亀裂
    PCBデラミネーション
    はんだ接合故障
    IMC故障
    表面配線故障
    PTH/ヴィア故障
    内部配線故障
    はんだ・エレクトロマイグレーション
    
3.3.2 材料明細:電子・機械部品選択

 ウィスカ危険性から禁止など求められている
   亜鉛・クロメート変換めっき
   亜鉛めっき(コネクタ本体、基板搭載RFシールド)
   Sn−Cu表面処理
   ブライトSn表面処理
   黄銅、鉄鋼上のSn表面処理
   連続的機械的圧縮応力に曝されるSn表面処理(零挿入力コネクター、プレスインコネクター)
   希土類元素を含むPbフリーはんだ合金を有するすべての部品

部品表面処理 
 INEMISnウィスカ危険性表




3.3.5 はんだ選択

問題・隔たり・誤解
 問題:製造性の違いにより異なるはんだ合金が異なるアセンブリ工程(リフロー、ウェーヴ、はんだ噴水、リワーク)で使用されているが
はんだ材料は必ずしも製造工程だけで選ばれているのではない。(特にリペア)
 問題:多様なはんだが使用されているがある種のはんだの組み合わせは両立しないか狭い工程窓をもっている。
 隔たり:PbフリーはんだとSnPbはんだの比較性能について理解の差と誤解がある。SnPbはんだは高応力条件で優れ、Pbフリーはんだは
より温和な条件で優れているというがこれは下記因子で大きく変わりうる。
  Pbフリー合金種類(SAC405、SAC305、SAC105、SAC0307、SnCuNiGe、SnAgCuBi、SnAgCuSb、など・・・)
  部品パッケージ(BGA、リード端子、リードレス)
  環境応力(振動、機械的衝撃、温度サイクリング)
 問題:固液共存範囲は製造工程を悪くしうるので非共晶はんだは好まれない。
 問題:SnPbリペアとの両立性は定義されていない。たとえば寿命。

初期の傾向と経験則
 SAC305はんだが現在リフローでは最も一般的Pbフリー合金。
 SnCuNiはんだが現在ウェーヴとリワークでは最も一般的Pbフリー合金。
 高銀SAC合金(SAC405、SAC387、SAC305など)は落下あるいは機械的衝撃などの環境で問題
 SnAgはんだはCuを含まないのでCu溶解が多いが、いくつかの高温応用で長年使用されているが、
Pbフリーはんだとしては広くは採用されていない。
 Niを含まないPbフリーはんだは100℃以上の高温への連続的暴露でCu接合パッドと配線がCu溶解による
故障を起こす可能性がある。
 Sbを含まないPbフリーはんだは−10℃以下での連続的暴露(6ヶ月以上)でSnペストの危険性がある。
  ただしSbには毒性問題がある。
 いくつかの研究ではSnPbに比べPbフリーはんだは振動で劣る性能を示す。ただし結果は一貫性がなく、
更なる試験と解析が必要。
  (変動の多くははんだ応力水準、試料年齢、部品型、冷却速度等の不適当な制御、報告によると思われる。)
 InまたはZnが合金されたPbフリーはんだは湿度環境で急速な腐食を起こす可能性がある。







PCB

問題・隔たり・誤解
 PCBでの検出されない亀裂とデラミネーションの可能性がPbフリーCCA移行での最大の危険性。
 耐食性、はんだ付け性、耐ウィスカ性でSnPbと同等のPbフリー表面処理はない。
 Pbフリー(高温)工程に向いた積層laminate材料は水分吸収、デラミネーション傾向、その他のはんだ付け中での損傷
に対するが感受性大きく変わる。供給者のデータは不完全か疑問がある。水分吸脱水速度はPCB設計に影響される。
 Pbフリー表面処理のPBC水分減少のプリベークは多くははんだ付け性に有害である。

推奨
 はんだめっき
   無電解Ni/置換Ag(ENIG)はリフロー後の取り扱いでのはんだ破壊の危険性の上昇のためPbフリーはんだとの
  使用に推奨されない。もし使用するなら適当な危険性評価がなされるべきである。
   すべてのPCBの置換Snめっき配線はアセンブリの間Snウィスカを抑制するためにはんだで覆われるべきである。
   すべてのPCBの置換Snめっき配線はクリープ腐食の危険性を緩和するために非はんだマスク規定(限定)NSMDであるべきである。


3.4.4 はんだ疲労と相互接続信頼性解析

振動負荷
 問題・隔たり・誤解
  熱サイクルと対照的に同等の応力水準、特に高応力では振動試験Pbフリーはんだ付けアセンブリはSnPbアセンブリほどの信頼性がない。

 低応力でのデータが不足ではんだエージングの影響が不明。
 低水準での振動暴露で後の高水準振動疲労が顕著に改善されるが、逆は悪く作用する可能性がある。


機械的衝撃負荷



 問題・隔たり・誤解
  耐衝撃性改善次世代はんだは4〜5成分からなる可能性がある。添加量0.05wt%程度で効果が認められる。
  熱サイクルデータが多くで不採取。
  添加信頼度への重量%感受性が評価されていない。(添加量が少なく製造上の組成変動の影響が懸念されるだろう)
  アセンブリ・エージングの衝撃への役割が十分理解されていない。パッド・クレータリングを避ける設計規則が多くの合金/積層板の
 組み合わせで実験的に得られていない。

熱機械的負荷
熱機械的と動的負荷の結合

3.5 Snウィスカ危険性評価

4.製造

4.2 製造のための設計

ポップ・コーン現象の危険性


4.6 はんだ金属学−はんだ接合形成
 Pbフリーはんだ合金は最初、共晶近傍のSn3.5−3.9Ag0.7−0.9Cu付近を基礎とした。(NCMS、iNEMIなど)
 Ag価格問題とアイオワ州大特許を避けるためJEITAと続いてIPCが亜共晶のSAC305を推薦。
 欧州の企業は共晶合金による、特に収縮孔発生の低下、融点と固液共存範囲の低下から高AgのSAC405にとどまることを選んだ。
 主流のSAC305とSAC405はBGAはんだボールとはんだペースト、ウェーヴ合金に使用。
 SAC305とSAC405は機械的衝撃性能が悪いので携帯製品でBGAとCSPはんだ接合、特に動的負荷条件での
機械的強度改善のため低Ag、低Cu開発に拍車がかかっている。
 これら合金はSb、Ni、Bi、P、Ge、Co、In、Crなどの微量添加がよくなされる。


 工程窓の変化


 混合はんだ工程
  
 濡れ
  SACは高表面張力、低濡れ力、高濡れ時間の結果、SnPbに比べ濡れが減少し、接触角が高い。
  低Ag合金は共晶近傍SACより濡れが悪く、操作窓が著しく減少する。


外観
  (濡れ広がりと光沢)


微細構造
  はんだバルク
   SnPb:柔軟なβSnとPbの2相合金
   SAC:大きな数個の粒のβSnマトリクスと硬く、脆いIMC粒子分散。
  IMC反応層
   SnPbとPbフリーで異なるタイプ
  IMC厚さ
   Pbフリーで厚い
 凝固過程
  融点以下数度の一定温度で凝固するSnPbと異なり、Pbフリー接合は顕著な過冷却を必要とする。
  SAC305、SAC387、SAC405などの共晶近傍NEはんだは冷却速度に依存し217℃より20〜40℃低温で凝固し始める。
  冷却につれていくつかの相が段階的に結晶化する。この順序と相の晶出は接合組成と冷却速度による。
  (Agが多いと徐冷ではAg3Snが初晶として晶出しやすく、Cuの溶解が多いとCu6Sn5が初晶として晶出する。
  その他共晶の晶出、組成・条件では大きなSnデンドライト相形成などもおきる。)



*Me3Sn4はNi3Sn4でNiのCu置換が起きる、同様にMe6Sn5はCu6Sn5でCuのNi置換が起きる。
 はんだのCu量により(Ni,Cu)3Sn4、(Cu,Ni)6Sn5/(Ni,Cu)3Sn4(2層状態)、(Cu,Ni)6Sn5と推移する。




 収縮ボイド
  収縮ボイドはSnデンドライト間に閉じ込められた最後の共晶液体部分に形成される。


 BGAはんだ工程の混合金属学

 *図の最下段はTmax≧217℃の誤りであろう。

 183℃でSnPbが融け始め、溶融はんだにSACが溶解し始め、溶解は飽和組成のなるまで続く。
 温度が高いほどより多くのSACが溶解する。リフロー・プロファイル、SnPbとSACの割合、接合部寸法により217℃までの
間では部分混合から完全混合までおきる。
 ピーク温度が217℃に達するとSnPbとSACの割合、接合部寸法に関係なく完全混合が全部品でおきる。

 不完全混合は微細組織で明確に区別できる。
 混合部には大きなSnデンドライトが形成される。境界部にSnリッチ帯が形成されることがある。

 *図の下方の2と3は逆か?


 HOT微細構造? 通常より細かい組織

Snに固溶しない不純物による収縮ボイド
 最後の液相部にPb、Ag濃縮(基板側)

 両面リフローの2回目に収縮ボイド形成

 
リード端子でのPb汚染


 フィレット・リフト



工程ボイド
 SAC合金はSnPbよりボイドが発生しやすい。原因は高温によるはんだ粉の過剰な酸化。
 発生しやすさは合金にもより、共晶近傍より共晶はずれが低Agが発生しやすい。

 ツームストーン
  Pbフリーはんだペーストは高表面張力とより大きな熱勾配ののためツームストン不良が生じやすい。
  ツームストンはフラックス化学と基板設計(個別discreteパッド下のブラインド・ヴィア)にも影響される。
 


枕不良(枕上頭)head on pillow
  SnPbよりPbフリー同士、PbフリーとSnPbの混合アセンブリで枕不良が起き易い。
  これは狭い工程窓、特に低AgSAC(SAC105)が使用された場合のそうである。

Cu溶解
 CuめっきはSACではSnPbより非常に速く溶解する。高操作温度と高Sn量のためである。
 微量添加物による改善効果がある。




はんだ工程

 手はんだ付け

リフロー

 ウェーヴ


気相はんだ付け

選択はんだ付け
 ポット・ウェーヴとレーザーはんだ付け


洗浄
アンダーフィル
目視




リワーク
  熱風
  噴水
  マニュアル(リペア)



6 試験
6.2 材料特性と製品製造性試験

 PCB
  PCBのはんだ付け性
  エレクトロマイグレーション
  Snウィスカ
  表面処理
  デラミネーション
  CAF
  相互接続応力
  Cu
   Cu溶解
   強度と伸び
 部品
  表面処理
  はんだ付け性
  ウィスカ
 はんだ
  はんだ付け性
  表面絶縁抵抗
  Snペスト
  はんだ接合Snウィスカ
 
 問題issu
  ウィスカ形成、成長予測ができない。
  試験パラメータの十分な指導を与えることができない。
  製造工程窓がSnPbに比べ非常に小さい。
 空隙
  Snウィスカの試験方法、受け入れ、品質規格が存在しない。(航空・軍用)
  PCBデラミネーション、CAF試験、ペーストはんだ付け性の仕様変更が必要。
  パッド・リフティング、パンド・クレータリング、界面デラミネーション、配線trace破壊などのPbフリー相互接続破壊様式の予測試験法がない。

6.3 材料試験
 安定化と他のアニール処理
  IPC−9701A 100℃x24hs
 時間独立単調(応力−ひずみ)機械特性
 時間依存(クリープ)機械特性
 周期的機械特性(恒温)
 材料物理特性
  CTE
 破壊モード解析

6.4 回路カードアセンブリ試験
 湿度試験
 熱衝撃 温度変化速度20℃/分以上
 熱サイクル
 振動
 機械的衝撃
 等温エージング
 結合環境(HAST、HALT)
  HALT:不規則繰り返し衝撃と熱サイクル
  HAST:高温度・湿度と圧力
 エレクトロマイグレーション
 破壊様式解析
  ブラック・パッド、カーケンダールボイド、パッド・クレータリング(電極えぐれ)、パッド・リフティング(電極剥がれ)、トレース・クラッキング(配線破壊)

 問題、空隙、誤解
  問題:Pbフリーはんだは振動と機械的衝撃に対してSnPbより強くrobustない。
  空隙:加速試験から実仕様寿命へ変換する有効コンピュータモデルが必要。

7. 信頼性
7.1.2 故障モードと機構





7.2 故障源

7.2.1 はんだ相互接続
 製造欠陥
  プロセス温度が高くなる→IMC成長、変形が大きくなる
  表面目視は不十分 
   SAC外観は粒状grainyで収縮亀裂が起きる。
 相互接続疲労
  主流Pbフリーはんだの微細構造と損傷進展はSnPbと非常に異なる。
    たとえばSn粒結晶方位の影響は耐破壊性に大きなバラツキをもたらす。
  温度サイクル
   温和な条件ではSACがSnPbより良いが、厳しい条件では劣る。


  振動(高機械的サイクル)
   振動による負荷は部品位置に大きく依存し、サイクル数は特徴としてより高い程度となる。
   ある種のパッケージでは主流のPbフリーはんだは高振動水準でSnPbより低い耐久性を示す。
   故障ははんだ亀裂に限られず配線不良とパッド・クレータリングも含まれる。


  衝撃破壊と低機械的サイクル
   負荷速度増加ではんだ相互接続故障位置がはんだからIMC結合とパッド・クレータリングによる配線破壊へと変化する。
   これはより硬いPbフリーはんだ、弱いIMC構造、Cu溶解の組み合わせで強く激化される。

  結合負荷
    最も一般的な組み合わせは温度サイクルと振動
   ESS(環境ストレススクリーニング) 
   ランダム振動試験
   HALT(高度加速寿命試験) 

  混合はんだ
   PbフリーとSnPbあるいは異なるPbフリー同士
  アンダーフィルと角corner、端edge結合
  低温脆性破壊
   SnPbと対照的にSACはんだは−40℃と−70℃の間で靱性から脆性破壊への急速遷移を示す。
   極低温での特に機械的衝撃のような高応力、高ひずみ負荷条件下では低温脆性破壊を起こす危険性がある。

7.2.2 クリープ破壊


7.2.3 エレクトロマイグレーション
 加速試験ではPbフリーはんだはSnPbほどはひどくない。
 しかしIMC析出の再分布が材料挙動に重要な結果をもたらす可能性がある。
7.2.4 Snペスト
 いまのところSnペストがPbフリーアセンブリでおきていない。
 しかし組成により異なり、アセンブリでの汚染の影響も考えられる。

  バレル亀裂
  配線疲労亀裂
   高サイクル機械的負荷で、Pbフリーはんだの採用
  パッド・クレータリング
  CAF導電性陽極フィラメント
  クリープ腐食とデンドライト成長
   ImAgは硫黄環境では使用不可


7.2.5 Snウィスカショート
7.2.6 部品
 温度感受性
 BGA CTE 湾曲



Phase2 2010
 Pbフリーで以前には見られなかった事









 SnPb同様におきること




     信頼性予測

  
部品問題

3.4 Snウィスカ

3.5 電子アセンブリ
3.6 はんだ接合

 はんだ信頼性問題例
  混合ハンダ」ボール工程
  SAC工程



 はんだ合金の到来

 周期的応力でSnPbは粒粗大化がおき、これにより亀裂が形成され成長する。SACでは再結晶で粒形成がおき、この結果
微粒化し粒界で分離し亀裂成長する。

 PTH挿入搭載問題
  Cu溶解



 はんだ接合信頼性効果






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