(13−9) Pbフリーはんだ接合の信頼性 まとめ
Pbフリーはんだ接合信頼性のまとめとして各種報告の概要を紹介する。
(13−9−1) マンハッタン計画
MANHATTAN計画 Phase1 2009
航空・軍事分野のPbフリー電子化
(抜粋要約)
3. 設計
3.1 序
SnPbとPbフリーの信頼性比較
高温・低温の保存、高速ひずみ(振動、衝撃、落下)、Snペスト、パッド・クレータリングなどが劣るあるいは悪化が懸念されている。
3.1.1 鍵となる設計配慮
*CCA:circuit card assembly、IPCはアセンブリ(部品搭載)された基板をCCAと呼ぶのを好むという。
問題点issue
はんだ
多くの合金がある:共晶が好まれる。
合金成分の複雑さ:特性と微細組織が組成変化に敏感。
材料特性:はんだ接合サイズ・スケール・モデルが役立たない。
疲労モデル
加速試験
工程温度:数度のはんだ付け温度がPCB材料とCu溶解に重要。
SnPbとの両立
他のPbフリー合金との混合
スズ・ウイスカの危険性
スズ・ペスト
Cu溶解
実用経験と実用故障データ
部品
温度能力
内部構成材料
外部めっきと端子材料:Snウィスカ危険性
モールド化合物
信頼性データ
SnPbはんだとの両立性
PCB
積層laminate選択:
表面処理
必要リフロー数:製造、リワーク(修正)、リペア(交換)、はんだリフロー等に適応する十分な要求
熱サイクル数
耐Cu溶解要求:製造、リワーク、リペアはんだリフロー等に適応する十分な厚み
製造性
CCA(回路カード・アセンブリ)
設計はんだ応力水準
部品搭載
製造性
維持:リワークとリペアを考慮
Snウィスカ緩和
3.2 要求
Pbフリーはんだは一貫してSnPbと同等あるいはより良いわけではない。
Pbフリーはんだは衝撃、落下または曲げでSnPbの50%以下までの荷重で破壊する。
3.2.3 システム限界要求
(理解の)隔たり:Pbフリーで悪化する欠陥
回路のショート、オープン、断続的故障など
新現象
パッド・クレータ(PCB配線破壊)、Snウィスカ
悪化
高温プロセスで
CAF発生増
低表面絶縁抵抗
湿度に敏感な部品の亀裂
部品湾曲(エリア・アレーの枕不良など)
多層セラミックキャパシタ亀裂
PCBデラミネーション
はんだ接合故障
IMC故障
表面配線故障
PTH/ヴィア故障
内部配線故障
はんだ・エレクトロマイグレーション
3.3.2 材料明細:電子・機械部品選択
(ウィスカについて)
3.3.5 はんだ選択
問題・隔たり・誤解
問題:製造性の違いにより異なるはんだ合金が異なるアセンブリ工程(リフロー、ウェーヴ、はんだ噴水、リワーク)で使用されているが
はんだ材料は必ずしも製造工程だけで選ばれているのではない。(特にリペア)
問題:多様なはんだが使用されているがある種のはんだの組み合わせは両立しないか狭い工程窓をもっている。
隔たり:PbフリーはんだとSnPbはんだの比較性能について理解の差と誤解がある。SnPbはんだは高応力条件で優れ、Pbフリーはんだは
より温和な条件で優れているというがこれは下記因子で大きく変わりうる。
Pbフリー合金種類(SAC405、SAC305、SAC105、SAC0307、SnCuNiGe、SnAgCuBi、SnAgCuSb、など・・・)
部品パッケージ(BGA、リード端子、リードレス)
環境応力(振動、機械的衝撃、温度サイクリング)
問題:固液共存範囲は製造工程を悪くしうるので非共晶はんだは好まれない。
問題:SnPbリペアとの両立性は定義されていない。たとえば寿命。
初期の傾向と経験則
SAC305はんだが現在リフローでは最も一般的Pbフリー合金。
SnCuNiはんだが現在ウェーヴとリワークでは最も一般的Pbフリー合金。
高銀SAC合金(SAC405、SAC387、SAC305など)は落下あるいは機械的衝撃などの環境で問題
SnAgはんだはCuを含まないのでCu溶解が多いが、いくつかの高温応用で長年使用されているが、
Pbフリーはんだとしては広くは採用されていない。
Niを含まないPbフリーはんだは100℃以上の高温への連続的暴露でCu接合パッドと配線がCu溶解による
故障を起こす可能性がある。
Sbを含まないPbフリーはんだは−10℃以下での連続的暴露(6ヶ月以上)でSnペストの危険性がある。
ただしSbには毒性問題がある。
いくつかの研究ではSnPbに比べPbフリーはんだは振動で劣る性能を示す。ただし結果は一貫性がなく、
更なる試験と解析が必要。
(変動の多くははんだ応力水準、試料年齢、部品型、冷却速度等の不適当な制御、報告によると思われる。)
InまたはZnが合金されたPbフリーはんだは湿度環境で急速な腐食を起こす可能性がある。
各種はんだの危険性と実績 危険性risk/実績experience
危険性:5が低危険性、実績:5が経験多し
各種はんだの両立性(混合での危険性)
PCB
問題・隔たり・誤解
PCBでの検出されない亀裂とデラミネーションの可能性がPbフリーCCA移行での最大の危険性。
耐食性、はんだ付け性、耐ウィスカ性でSnPbと同等のPbフリー表面処理はない。
Pbフリー(高温)工程に向いた積層laminate材料は水分吸収、デラミネーション傾向、その他のはんだ付け中での損傷
に対するが感受性大きく変わる。供給者のデータは不完全か疑問がある。水分吸脱水速度はPCB設計に影響される。
Pbフリー表面処理のPBC水分減少のプリベークは多くははんだ付け性に有害である。
推奨
はんだめっき
無電解Ni/置換Ag(ENIG)はリフロー後の取り扱いでのはんだ破壊の危険性の上昇のためPbフリーはんだとの
使用に推奨されない。もし使用するなら適当な危険性評価がなされるべきである。
すべてのPCBの置換Snめっき配線はアセンブリの間Snウィスカを抑制するためにはんだで覆われるべきである。
すべてのPCBの置換Snめっき配線はクリープ腐食の危険性を緩和するために非はんだマスク規定(限定)NSMDであるべきである。
3.4.4 はんだ疲労と相互接続信頼性解析
振動負荷
問題・隔たり・誤解
熱サイクルと対照的に同等の応力水準、特に高応力では振動試験Pbフリーはんだ付けアセンブリはSnPbアセンブリほどの信頼性がない。
低応力でのデータが不足ではんだエージングの影響が不明。
低水準での振動暴露で後の高水準振動疲労が顕著に改善されるが、逆は悪く作用する可能性がある。
機械的衝撃負荷
問題・隔たり・誤解
耐衝撃性改善次世代はんだは4〜5成分からなる可能性がある。添加量0.05wt%程度で効果が認められる。
熱サイクルデータが多くで不採取。
添加信頼度への重量%感受性が評価されていない。(添加量が少なく製造上の組成変動の影響が懸念されるだろう)
アセンブリ・エージングの衝撃への役割が十分理解されていない。パッド・クレータリングを避ける設計規則が多くの合金/積層板の
組み合わせで実験的に得られていない。
熱機械的負荷
熱機械的と動的負荷の結合
7. 信頼性
7.1.2 故障モードと機構
故障源と信頼性との関係
7.2 故障源
7.2.1 はんだ相互接続
製造欠陥
プロセス温度が高くなる→IMC成長、変形が大きくなる
表面目視は不十分
SAC外観は粒状grainyで収縮亀裂が起きる。
相互接続疲労
主流Pbフリーはんだの微細構造と損傷進展はSnPbと非常に異なる。
たとえばSn粒結晶方位の影響は耐破壊性に大きなバラツキをもたらす。
温度サイクル
温和な条件ではSACがSnPbより良いが、厳しい条件では劣る。
温度サイクル疲労モデル
振動(高機械的サイクル)
振動による負荷は部品位置に大きく依存し、特徴としてサイクル数はより高くなる。
ある種のパッケージでは主流のPbフリーはんだは高振動水準でSnPbより低い耐久性を示す。
故障ははんだ亀裂に限られず配線不良とパッド・クレータリングも含まれる。
衝撃破壊と低機械的サイクル
負荷速度増加ではんだ相互接続故障位置がはんだからIMC結合とパッド・クレータリングによる配線破壊へと変化する。
これはより硬いPbフリーはんだ、弱いIMC構造、Cu溶解の組み合わせで強く激化される。
結合負荷
最も一般的な組み合わせは温度サイクルと振動
ESS(環境ストレススクリーニング)
ランダム振動試験
HALT(高度加速寿命試験)
混合はんだ
PbフリーとSnPbあるいは異なるPbフリー同士
アンダーフィルと角corner、端edge結合
低温脆性破壊
SnPbと対照的にSACはんだは−40℃と−70℃の間で靱性から脆性破壊への急速遷移を示す。
極低温での特に機械的衝撃のような高応力、高ひずみ負荷条件下では低温脆性破壊を起こす危険性がある。
7.2.2 クリープ破壊
Phase2 2010
3.5 電子アセンブリ
3.6 はんだ接合
はんだ信頼性問題例
混合ハンダ」ボール工程
SAC工程
はんだ合金の流れ
周期的応力でSnPbは粒粗大化がおき、これにより亀裂が形成され成長する。SACでは再結晶で粒形成がおき、この結果
微粒化し粒界で分離し亀裂成長する。
PTH挿入搭載問題
Cu溶解
取り扱い
はんだ接合信頼性効果