(13−4−9) はんだ接合での熱疲労と組織変化 


 日本鋼管 寺島 熱ひずみによるSn粒の再結晶




 2個の大きな粒と数個の小さな粒、これらは50μm以上の亜結晶粒からなる。


  亀裂がはんだ/チップ結合界面付近のはんだ端から発生。この結合界面付近に大きな始めの一般的粒と共に
 多くの30μm以下の亜粒が見える。すなわち多くの微細な亜粒が認められる。
  更に亀裂発生場所に径約10μmの数個の一般粒が見える。
  これら一般粒は大きな元の一般粒と異なる方位をもつ。


 亀裂が完全に伝播。多くの一般的方向の結晶粒が存在。これらは優先方位をもたない。


  アニールで<110>方向に近い粒が優先成長。




  初期は2個の大きな粒と数個の小さな粒、これらは50μm以上の亜結晶粒からなる。


  亀裂発生付近に小さな粒形成。


  1個の大きな粒と数個の小さな粒が形成。

 150サイクルでは亀裂発生部にNi添加では約10μmの長さの粒、無添加では約30μmの粒が形成。
 600サイクルではNi添加では小さな粒からなるが、Ni無添加は大きな1個の粒がほとんど占める。
 Ni無添加が再結晶粒の粒成長と粗大化が速い。
 Ni添加による疲労寿命向上は熱ひずみによる再結晶後の粒成長抑制による。


Chen
 SAC305、ボール:0.3mmφ
 パッケージ:12x12x1.1(mm)、ダイ:10x10x0.27(mm)、電解NiAu
 PCB:Cu
 0〜100℃、15分保持、昇降温60℃/分

  凝固上がり組織

  接合部は2,3個か時には1個の粒からなる。


  多粒の場合、結晶方位差は双晶型(57°〜63°)


  2815サイクル後では局部的に種々の方位の多くの小粒が認められこれらはまだらな領域の凝固組織と異なる。
  種々の方位の5〜30μmの小さな等軸粒は局在化した再結晶が起きたことを示す。
  再結晶領域の粒界はほぼ高傾角粒界である。再結晶組織の周辺には多くの小さな低高傾角粒界(10°〜15°)が存在。
  非再結晶領域では3つの主要な方位が認められる。




  凝固上がり組織では1個の粒。
  1150サイクルでははじめと異なる結晶方位のいくつかの亜粒と粒が角近くと2つのパッド界面に形成される。
  その辺には微小亀裂と突き出し、入り込みが見られる。(下の写真)
  元の粒は〔110〕方位(青)に近く、新しい粒は〔001〕に近い(ピンクまたはオレンジ)
  結晶方位差は不変の粒から亜粒さらに再結晶粒で顕著に増加。





  この場合、下の左角は試料に垂直に近い〔100〕(a軸)粒で上の右角は〔001〕(c軸)この2つにはSnの異方性のため
 大きなCTE差が存在し、亀裂が促進される。これだけでは大きな損傷には至らないが、もし高傾角粒界が高応力集中領域
 と一致すると亀裂発生と伝播が加速される。


  疲労による縞模様(ストライエーション)により亀裂先端の進行を交互に抑制、促進する塑性流動(粒界スベリ)が
 亀裂に関係していることがわかる。


Han 配向  Snの異方性で粒界に応力が蓄積し、再結晶を引き起こし、破壊に影響する。
  SACBGAパッケージ
   BGAはSAC305、φ300μmバンプ、PCBは非はんだマスク規定パッドCu、
  Sn−3.5Agの個別はんだ接合
   760μmバンプ、Cu/Ni/2.0μmAuのUBM
  不明点多し(片側フリー?)

  Sn−3.5Agの個別はんだ接合の場合

  Sn−3.5Agの温度サイクル前、2つの粒が存在。


  温度サイクル後、粒界付近にスベリないし分離発生。


  高傾角粒界に優先的にスベリが存在、Snの異方性が疲労損傷の原因のひとつ。

  SAC305BGAパッケージの場合


  上の(c)のSEM像

  再結晶がおき、新しい粒界に沿って粒間破壊発生。再結晶粒の成長とともにIMCが粒境に偏析。
  損傷の主原因は部品と基板の熱膨張率差による応力だが、はんだ接合の粒配向が不適合だと
 Snの異方性も無視できない。異方性による応力により高傾角粒界が再結晶サイトとなる。




  単一結晶粒だと再結晶はパッド付近でおき、応力は相互接合界面に集中。
  いくつかの結晶粒からなる場合は再結晶と亀裂は高傾角粒界で起きやすい。
  再結晶粒界はスベリを起こしやすい。





 温度サイクルによる粒成長(共晶SnPb)

Dasgupta
 Sn−Pbの粒成長 Hacke,Spreche、Conrad


Rauta
 共晶SnPb


Conrad





Dutta



Lehman粒成長

 SACでのSn粒径はAg、Cuの影響を受ける。

 Cuの影響例

  Ag3Sn、Cu6Sn5の数と大きさははんだの機械的応答に影響
  2種類のオーダーの異なる析出物
  mmと数μmの析出物




  大きなはんだボールにはわずかなSn粒、これらは高度に配向。(双晶)


  小さなCSPやFCでは組み合ったSn粒構造がよく生じる。
  過冷却度とボール径が逆比例、小さいCSP、FCが過冷却しやすい。

  基板ないしは部品側近くで組み合ったSn粒構造が生じる。


  熱サイクルの影響

  通常、部品/はんだ界面に弓状に亀裂発生。
  基板位置が影響、中立点からの距離DNPとともに荷重増加。

  亀裂は粒界から発生。亀裂はボールの角からは発生していない。


Arfaei 粒数と配向の影響
  寿命は粒数に強く依存し、単結晶では結晶の配向に依存する傾向がある。

  SAC205、500μm径ボール、基板:OSP、ボンドテスターで1mm/sで280gまで往復、


  ほぼ1個の粒方位(a)と数個の方位の場合が存在(b)。
  破面近くには異なる方位の小領域が存在し、再結晶を示している。
  数個の粒からなる場合は方位差は60°に近い。







  晩期破壊は1つの特別な方向に集まっているが、初期破壊はすべて容易スベリ方向に対応する方向に近い(c)


Lall 
  置換Agラミネート
  試料詳細不明






















再結晶 Zhou 


  初期の多数の低傾角粒界と比較的多くの双晶(55°〜65°)からこれらが減少し、高傾角粒界(15°〜45°が)徐々に増加


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