(15−2−5) メリーランド大の説明


CalceNote

  Snウィスカとは何か?
    Snウィスカは導電性柱状あるいは円筒状繊維で通常単結晶体Snで、Sn基表面処理
   から自発的に形成する。
    長さは数μmから1mm以上と変化。
    ウィスカはCd、Zn表面処理でも形成されることが知られている。


  製造者のPbフリー表面処理化


  Pbフリー代替としてのSn
   利点
    低価格
    広く利用可能
    現存工程、装置の変化の必要が少ない
    耐腐食性良好
    電気導電性良好
   欠点
    接触での擦過腐食発生
    耐酸化性が悪い
    ウィスカ

  Snウィスカによる危険性
    主要破壊モード機構は
      電気的短絡:永久(典型的<10mA)、断続的(典型的>10mA)
      真空あるいは低圧での金属蒸発(プラズマ)アーク
      汚染

  可能なSnウィスカ位置
    ウィスカはほとんどどんなSnめっき表面からでも成長し得る。
     電子部品パッケージの端子
     金属缶(内外)
     PWB表面処理
     機械的結合
     コネクタ
     遮蔽









ウィスカ因子
  −電解工程
     添加物、不純物(C、H量)
     電流密度
     めっき浴温度
     電解液種類(例:アルカリ、硫酸)
  −基材
     清浄度、粗さ
     粒配向
     下地層(材料、厚み)
     材料(組成、厚み)
  −堆積の特徴
     厚み
     粒寸法/配向/形状
     合金化成分
     表面酸化
     IMC形成
     アニール(温度、時間)
  −外部応力
     成形/端子曲げ
     表面損傷(引っ掻き、溝)
     取り扱い(例:ねじ締め)
  −保管と動作条件
     電流/電圧
     温度(一定とサイクル)
     腐食
     湿度
     汚染(例:Cl2、SO2)
     圧力
  −部品組み立て工程
     リフロー(プロファイル)
     保護被覆(材料/厚み/一様性/形成方法)
     はんだ浸漬dip(合金、被覆領域)


  ウィスカ位置近くに明らかなSn欠乏兆候はない。
  粒界近くで成長。

  ウィスカ根元の断面

  柱状粒と付近津IMC成長がウィスカ成長に寄与していそうだ。


  種々のめっきからのウィスカ成長


  表面処理で応力が生じ得るのは
   ・めっき材料と基材間でのIMC形成で、めっき内に圧縮応力をもたらす。
   ・Sn基めっき材料と基材あるいは下地層の熱膨張率差。
   ・電解めっき工程自身の残留応力の存在。
   ・機械的曲げあるいは成形のような外部圧縮応力。
   ・引っかき傷、切り込みなどのような部品表面の損傷、これらはウィスカ形成の核生成点
    として機能する応力を生み出す。
   ・Sn表面上の酸化物形成、



  長期間ウィスカ密度


  基材材料の影響

   ブライトSnがマットSnと比較し必ずしも長いウィスカ成長とはならない。

  リフローの効果

      矛盾する結果が提出されている。

  アニールの有効性

   Cu上のマットSnでのアニール(150℃、1h)は室温保管ではウィスカ長さ抑制をもたらす。
   黄銅ではアニールはウィスカ長さを減少させない。

  電流(直流)の影響、条件50℃、50%RH。

   電流はブライトSnではウィスカ長を増加させるがマットSnではさせない。
   アニールはマットSnでは逆に影響。


  可能な緩和策
   部品選択戦略
    純Snと高Sn Pbフリー表面処理部品を避ける。
    表面処理材料としてマットまたは低応力Snを選択。
    8μm以上の厚いめっきを選択。
    NiまたはAg下地層の部品を選択。
    アニール部品を選択。
   アセンブリ工程戦略
    はんだディップSn表面処理部品。
    めっき表面の圧縮負荷を極小化。
    保護被覆conformal coat採用。


  *INEMI定義、誤りあり:Bright tinのC量は0.2−0.8%が正しい。

 マット対ブライトSn議論
  多くのめっき業者はマットとブライトを表面処理の外見で言及し、その実現手段は種々ある。
  2005年、カーボン量による規定が導入された。 ブライトは低カーボン量。
  試験ではNi上のブライトはNi上のマットより良い性能を有する。
  ブライトは多くの水平粒界をもち、めっき層の応力を減少させる。




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