Pbフリーはんだの金属学的基礎
(7−5−3) 微量添加合金
概要
NESAC、低AgSAC、SnCuの性質改善のための微量合金成分添加はNESACでは耐衝撃性の改善が主目的でこれははんだバルク
が硬く、接合界面に応力が集中し接合界面(のIMC界面)で破壊が起きることが原因なので界面IMCの形態改善のためNi、Coなどの
添加が行われる。
低AgSACでははんだバルクが弱く、温度サイクル特性が劣ることと、なおSnPbより耐衝撃性が劣ることの改善が目的で、はんだバルクの
強度向上には比較的多量のSb、Bi、Inなどによる固溶強化、微量のMn、Ce、Ti等添加による結晶粒微細化と分散強化、更に
微量のNi、Co等添加による界面IMCの改質などが行われる。
SnCuではNi、Coの添加による界面IMCの形態改善と結晶粒微細化が行われる。
微量添加物の効果
比較的多量のSb、Bi はんだバルクへの固溶強化。
微量のNi、Co Cu6Sn5のCu置換によりCu電極で界面IMCの形態変化(界面IMCの平滑・稠密化、)とIMC成長抑制。
微量のMn、Ce、Ti、Al SnとIMCを形成し分散・析出し結晶粒微細化、組織安定化(分散強化、析出強化)。
*結晶粒微細化にはAg、Cuによる過共晶化が有効だが大きな初晶IMC形成という難がある。
なおはんだへの微量添加物の影響についてはいままでにすでに述べており、その接合界面への影響は(11−11)
はんだ添加成分の影響
でも詳しく述べる。
各種添加元素のはんだバルクへの影響
Cai Auburn
SACX、SN100C、SN96CIの比較
添加物(Bi、Ni、Zn、Co)とエージング
*SACX Sn-0.7Cu-0.3Ag-0.1Bi(Alpha alent)
添加物のエージング組織への影響
SACXの亜粒界(<1℃)例
SAC−Znの亜粒成長
Bi
BiはβSnに固溶。
Microstructure Evolution of SACX with Aging(250X,R.F.)
Ni
SN100C中 (Cu,Ni)6Sn5 IMC Ni3Sn4は存在しない。
NiはCu6Sn5に置換固溶
Zn
Cu−Zn IMCとして存在か、
Co
Sn96CI中の粒子
(CuCo)6Sn5 CoSn3
結論としてBiはβSnを微細化、Ni、Zn、CoはIMCの合体、粗大化を緩和としているが・・・
Pandher Coolson
Lindley
不均一核生成サイトとして析出粒子が作用する。
各種添加元素の界面IMCへの影響
Shoji SAC355+Ni+Ge
タン 東芝 Sn-0.7Cu-0.1Co
野北
矢印:亀裂発生部
NiがCu6Sn5の相変態に伴う体積変化を回避し内部応力変化を低減。
Kim SACとCu接合でのFe、Ni、Co、Mn、Tiの微量添加効果
Ti、Mn、Niは微細析出物形成。
Ni、Coでは微細な帆立貝殻状界面IMC形成。
Lin(
Kantarciogluから転載)
Lee
Sn−3.24Ag−0.64Cu−0.75Ni 4元共晶:216℃
Anderson
Kaila
SAC105+X
Biocca
W Liu
低AgSAC(SAC105)の微量添加物と落下試験
SACXによる落下特性改善
Sn6::Sn-37Pb
Mn、Ce添加が効果あるというデータがある。
落下試験 SACM(Mn)≧SnPb≧SACC(Ce)>SAC105>SAC305 (Liu 2009)
レンセラーHartford
共晶近傍SACの微量添加による衝撃値
2009_06_2nd Generation LF Alloys-DfR
第2世代2011
衝撃性能の改善
Pandher Ag効果
SACX:SAC0307+0.1Bi(Cookson)
Biの結晶粒微細化効果