〔X〕 機械的性質と信頼性

(12) 機械的性質とひずみ速度

(12−1) 機械的性質(静的性質)

(12−1−1) 応力−ひずみ曲線

  機械的性質は引張り試験による(単調)応力−ひずみ曲線が基本となる。これは通常はんだバルクによる試験となる。
  静的といわれるもののひずみ速度は通常10−2〜10−3−1

  応力−ひずみ曲線からは耐力(降伏応力)σy、ヤング率E、最大引張強さUTS、(破断)伸びεf、絞り(断面減少率)などが得られる。


@ 単調応力−ひずみ曲線



   ネッキング(局部伸びによるくびれ))があるため公称応力は真応力ではない。

 詳しく見ると
  


  圧縮と引っ張り



  加工硬化指数:n


  加工硬化と動的回復、動的再結晶
 Wilson



 SACの実際例 IPCによる


A 繰返し応力−ひずみ曲線(ヒステリシス曲線)

 繰り返し試験とヒステリシス曲線
   バウシンガー効果が生じる


  応力硬化と応力軟化


 応力一定では
    硬化 ひずみ量減少
    軟化 ひずみ量増加




  その他、はんだの機械的性質の測定にははんだバルクでの測定以外にはんだ接合状態での測定が重要となる。
  引っ張り、圧縮、ねじり、クリープ、硬度、衝撃(シャルピーなど)ははんだバルクで試験される。
  それに対しせん断は接合joint、interconnect、多くは基板に部品を接合(実装、アセンブリ)した状態が実際的である。
  同様に実際的試験として基板曲げ、衝撃:高ひずみ速度(振動、繰り返し曲げ、落下、鋼球衝突・・・)、温度サイクル
 などは基板に部品あるいははんだボールを接合(実装、アセンブリ)した状態となる。  


B 主な依存性

  温度依存性
   温度上昇で強度低下


  ひずみ速度依存性 
   ひずみ速度上昇で強度上昇

いずれもPoh


(12−1−2) Pbフリーはんだの応力−ひずみ曲線

  共晶Sn−PbはSnとPbの柔らかい金属の2相合金であるが、共晶Sn−Ag、Sn−CuやSn−Ag−Cu3元系合金は
 Ag3Sn、Cu6Sn5などが共晶により分散した分散強化型合金で、特にAgを含むものは量も多く強度が強くなる。
  また微量ではあるが析出硬化もあると思われる。
  Bi、Sbなどは固溶強化も示す。
  しかしSn−37Pb、Sn−3.5Ag、Sn−0.7Cu(+Ni)、Sn−3Ag−0.5Cu、Sn−9Zn(−3Bi)、Sn−58Bi(−1Ag)
 といった基本的はんだ合金でもその特性は大きくばらついている。
  引っ張り強度はおおよそ
    Sn−0.7Cu<Sn−37Pb<SAC305<Sn−58Bi
 のような傾向を示す。


Wang  



Che


  SACの強度はAg量に比例する。

Hwang



 El−Daly 
 

  SnCu−AgではAg3Sn、SnCu−InではγInSn4、SnCu−Ag−InではγInSn4、In4Ag9が主な分散強化相。







Kikuchi


上西
 衝撃引張り試験


・せん断試験

Matin


 *同じ組成でもかなりのバラツキが見られる。

Xie
 せん断試験、10−3−1、Cu板を挟んで接合、厚み500μm、リフロー:約240℃






Yu
 Cuではんだを挟む、せん断試験




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