(13−8−2) 連続的結合環境試験・・・落下試験への熱サイクルと恒温アニールの影響


機械的衝撃と振動負荷でのPbフリーはんだの基板レベル信頼性

4 結合負荷条件での信頼性



4.1 熱機械的と機械的負荷の連続的結合

  CSP試験条件
   PWB:2μmNi(P)/0.02μmAuとOSP(0.2−0.5μm)、UBM:電解Cu、
   ボール:500μmφSn0.2Ag0.4Cu、はんだペースト:SAC387
   熱サイクル:−45〜125℃、15分保持、750c
   恒温アニール:125℃、500hs
   落下試験:

  熱サイクルと恒温アニールの比較


  はんだ上がりでの主要破壊モード


  はんだ上がりの亀裂はどちらかの側の界面の反応層。
  NiP/AuはPWB側のNiPとはんだ界面の脆い反応層の亀裂、Cu/OSPは部品側のCu6Sn5反応層経由。

  熱サイクルでは基板側表面処理によらず破壊モードは同じになる。バルクはんだ経由の粒間亀裂。


  落下試験前のアニールでも基板側表面処理によらず破壊モードは同じになる。


  恒温アニールでは他より顕著な弱化。
  亀裂はバルクはんだで核生成するがすぐにCu3Sn層に入る。
  恒温アニールで多数のボイドが形成されほとんど連続経路となり亀裂が伝播。
  ボイドは部品側(電解Cu)だけ。


Xu 南洋理工大 
 FPBGA 324 I/O
 PCB:無電解Ni/Au(詳細不明)、OSP


  TC(−40〜125℃、15分保持、1hr/c)
  TS(−55〜125℃、5分保持、17分/c)

 恒温:125℃、TS、TCでは125℃の時間
 TCとTSがIMC成長促進、熱応力のせい。

 
 (a):初期
  TC(−40〜125℃、15分保持、1hr/c)では20μm→13μm→5〜8μmと粒径減少、動的再結晶。
  等温エージング(125℃)では粒成長。





  はんだ接合破壊モード




  典型的破壊モードはTCでは部品界面近くの最外側角とダイ角。
  落下ではIMC脆性破壊。


  OSPでは亀裂経路はすべてCu6Sn5 IMC、位置は異なる、
    Cu6Sn5界面近く、SAC−Cu6Sn5界面近く、Cu6Snの中間など。
  ENIGではIMCとNi(P)層の界面。

  Kirkendallボイド

   TCが恒温エージングよりKirkendallボイドが激しい。


  Ni(P)ではNi(P)層に水平なボイドのほかに垂直なボイドがある。

  TCで落下信頼性は許容できないほど劣化。

 結論
   恒温エージングではENIGがOSPより落下衝撃寿命が長い。
   TCエージングでKirkendallボイドが成長しはんだ接合界面が弱化される。
   Kirkendallボイドにより亀裂位置はIMC内部からIMC/Cu界面に変化。
   NiAuではTCエージングでNi(P)に垂直と水平ボイドが発生。
   亀裂は水平ボイドに沿ってNi(P)/Cu界面を伝播。


(13−8−3) 同時結合環境試験・・・高温での振動と落下試験


 昇温による機械的衝撃でのはんだ相互接合の破壊モード(振動と落下)

 はんだペーストSAC387、基板OSP
 落下試験は82cm、ピーク値1500G、パルス幅0.5ms。
 振動試験は落下試験と同じひずみを与える振幅のSIN波。

 <落下と振動のひずみ>



   <試験結果>




 高温ではひずみ速度効果が少なく、よくなるはずだが、



  温度上昇でPWBのひずみは増加。


・破壊モード
  落下と振動の破壊モードは同じ。
  部品側IMC層亀裂とCuパッド下の樹脂コートCuの亀裂が確認される。
  IMC亀裂だけが電気的故障を起こす。
  IMC亀裂は
   Cu6Sn5 IMC層
   はんだとCu6Sn5の界面
   Cu6Sn5 IMC層付近のはんだ
 の3つが認められ発生はIMC層の形態に大きく依存。








SAC+Bi、Ni 落下と温度 


  1) 落下信頼性は温度とともに減少。 
  2) Cu/OSP PWBがNi(P)/Au PWBより良い。
  3) 室温ではSnAgCuNiがCu/OSP PWBで最も良く、SnAgCuはNi(P)/Au PWBで最も良い。

  破壊モードは
     SnAgCuとSnAgCuBiの破壊モードは温度で相互接合界面亀裂からCu配線亀裂へ変化。
     SnAgCuNiの破壊モードは温度、パッド材料に関わらずCu配線亀裂。

  はんだによる違いは
     Cu/OSP PWB・・・SnAgCuとSnAgCuNiが同等でSnAgCuBiより優れている。
     Ni(P)/Au PWB・・SnAgCuが最も信頼でき、SnAgCuBiがこれに次ぎ、SnAgCuNiが最も劣る。

    昇温ではPWBパッド電極によらずSnAgCuが最善でSnAgCuNiが最悪。

  β値(ワイブル曲線の傾き)で破壊モードが分かれる
   高β(3.8以上)・・・すべてパッド端のCu配線亀裂 
   低β(1.9以上)・・・PWB保護膜に依存
      Cu/OSP PWBアッセンブリ・・・  部品側IMC層、(Cu,Ni)6Sn5 IMC層内を亀裂伝播。
       *部品側UBMは明記ないが両方とも他同様にNi/Auと思われる。
      Ni(P)/Au PWBアッセンブリ・・・ Ni(P)と(Cu,Ni)6Sn5の間の非常に狭い反応帯。

   室温ではすべて低β、一方110℃ではすべて高β

  高変形速度での温度の影響
   高Snはんだはひずみ速度硬化を起こす。
   その結果応力は界面付近のはんだ相互接合端に集中しIMC層の脆性破壊強度を超える。

   昇温によるPWBの曲げ増加とはんだ相互接合強度低下ではんだ相互接合の応力分布が変化。
   このため部品側界面領域の引き剥がし応力が低下し、PWBCu配線の塑性ひずみ増加。












機械的衝撃と振動負荷でのPbフリーはんだの基板レベル信頼性


4.2 異なる温度での落下信頼性
4.2.1 材料と方法

  CSP:SAC405バンプ、UBM:Al/Ni(V)/Cu、基板:Cu(OSP)
  CSP−GBA:SAC305、再配線はCuだけ。


  結果




  WL−CSPとCSP−BGAで相反する結果、WL−CSPでは温度とともに破壊落下数上昇し、
 CSP−BGAでは低下。



  最初の破壊モードはWL−CSPでは部品側界面近くのはんだ相互接合部の亀裂。
  亀裂伝播路は温度上昇で変化。
  室温では部品側の(Cu,Ni)6Sn5IMC層、温度上昇で徐々にバルクはんだに変化。



  CSP−BGAの破壊モードは
   部品側IMC層の亀裂
   Cuはんだ付けパッド直下の樹脂被覆Cu層resin coated copperの亀裂
 の2つだがIMC層亀裂だけが電気的破壊を起こす。


4.2.3 議論

  UTSのひずみ速度感受性の温度による変化


  柔らかいはんだが落下には都合が良い。

  落下試験でのPWBの測定最大ひずみ


  CSP−BGAでは温度と共に増加、WL−CSPでは変化なし。



  WL−CSPは極度に加熱が局在し剛性への影響は顕著ではない。
  高温ではんだ強度が減少し、破壊モードがIMC層亀裂からバルクはんだ亀裂へ変化。
  バルクはんだを経由しての亀裂伝播のエネルギーは脆いIMC層を経由してより高いので寿命が伸びた。

  CSP−BGAでははんだ強度とPWB剛性が減少(ひずみ増加)が顕著で状況は複雑。
  解析によるとPWBの曲げ増加効果がはんだ強度減少よりより顕著、はんだ強度とPWB剛性の同時減少で
 部品側界面領域の引き剥がし強度が約10%増加するので昇温での信頼性能減少する。

Qi


  272PBGA(モトローラ)、パッケージ27x27mm
  詳細不明











  結合試験の故障解析


  はんだ接合solder jointの疲労亀裂


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