(13−3−7) 疲労の寿命予測

  疲労の構成式や寿命予測についてはすでにある程度言及しているがここでまとめて紹介する。

Qianらの解説
 疲労寿命予測接近法
  寿命予測法
   ひずみ基礎:亀裂開始寿命 
    Coffin-Manson
   
   エネルギー基礎:亀裂開始寿命
   
    W:非弾性ヒステリシスエネルギー密度
   破壊機構基礎:亀裂伝播寿命
   損傷進展基礎:亀裂開始+伝播寿命

  構成モデル法
    分離モデルと統一モデル
     分離モデル
       速度非依存塑性と定常クリープに分離
       ヒステリシス、履歴の考慮欠如
     統一モデル
       粘弾性モデル


Subbarayanの解説

  はんだ合金の挙動
   応力はひずみ、ひずみ速度、温度に依存
  古典理論:クリープ
   非弾性ひずみは塑性ひずみとクリープひずみに分離
    ε=ε+ε
   クリープひずみ速度は応力、温度、時間の関数、通常
    
   遷移クリープ無視、一般的には
    


  粘塑性理論
    物質の記憶理論


   ひずみは応力、温度と”そのほかの何か”で決定される。
      そのほかの何かξは状態変数あるいは内部変数と呼ばれる。
        
   状態の進展−進展方程式





  Anand粘塑性モデル
   9パラメータと1状態変数
   パラメータは単調とクリープ試験から推定
   重要な関係
   

  予測式の比較



  遷移クリープは顕著









  破壊モデル
    加速熱サイクル、パワー・サイクル、落下試験、振動試験





  実験加速因子


  エネルギー基礎方法

  非弾性損失は疲労寿命と関係

  実験モデルの限界
     
   ΔWの推定がはっきりしない
   パッケージ構成・幾何に依存



  Cohesive Zone モデル
       
  Hybrid Damage モデル

  エージングの影響







Lee(ナショナル・セミコンダクター) はんだ接合疲労モデル 概観

  疲労モデル化の段階
   構成式
   FEAプログラム→応力−ひずみ値
   FEAによるサイクル数−破壊予測モデル
   検証

  破壊モデル

   もっともよく使用される構成式は
     全せん断ひずみ=弾性せん断ひずみ+塑性せん断ひずみ+クリープひずみ
  この分離モデルの対し最近は統一構成モデルに焦点。

   (応力基礎)
     負荷によるひずみを基礎、振動、衝撃などに適用、破壊モデルには分類されない。
   塑性ひずみ基礎
     Coffin−Mansonの式
      
     全ひずみ式
       
     Solomonの式
       
     Engelmaierの式・・・全せん断ひずみΔγと関係付ける。
       
     Minerの式の線形重ね合わせを基本とする式
      塑性ひずみとクリープひずみの線形重ね合わせを基本、Solomonの式とEngelmaierの式を結合。
        
   クリープひずみ基礎
     KnechtとFoxの式
       
     Syedの式
      
          サイクル当たり蓄積等価クリープひずみ(Dgbs粒界すべり、Dmcマトリクスクリープ

   エネルギー基礎
     Dasguptaのモデル・・・エネルギー分離 
       E=Ue:弾性+Wp:塑性+Wcr:クリープ 

     Akayの式
       
     Liangの式
       
     Darveauxの式(解りやすいと思うのでこちらを紹介)
        亀裂発生+亀裂成長
       
      
     Panのひずみエネルギー基礎疲労モデル(臨界蓄積エネルギー)
         クリープエネルギーEpと塑性エネルギーEcから
       

   損傷蓄積基礎
     Stolkartsの式
        

     Stolkartsらの式(解りやすいと思うのでこちらを紹介)
       
          
           ここで
            
          
       

  加速係数の計算式
     
   


  要約



Xingshengの論文での概観

 塑性ひずみ依拠
    Coffin−Manson
  
    塑性ひずみ範囲

 クリープひずみ依拠
    KnechtとFoxの式
  
    Syedの式
  
      サイクル当たり蓄積等価クリープひずみ(Dgbs粒界すべり、Dmcマトリクスクリープ

 エネルギー依拠
  

 破壊機構依拠
    亀裂成長速度
   
    Paris−Erdoganのサイクル当たり亀裂伝播の式
   

 Shaoらの要約

  弾塑性構成モデル
   Osgood−Rambergモデル
     
  クリープ構成モデル


  分離粘塑性構成モデル
   KnechtとFoxの構成モデル
     
  統一粘塑性構成モデル
   Bussoのモデル
     
  Skiporのモデル
     
  Anandモデル
     

  連続体破壊機構に依拠する構成モデル
   以上の構成式は材料の非破壊を前提、実際は微細構造の進展による。


Syed
  NESACの構成モデル


  クリープ・モデルの比較
   Constitutive equation
    Wiese SAC405
    Schubert SAC387,SAC3575,SAC355,CASTIN
    Zhang SAC396
    Morris SAC305




   Monkmann−Grant の式
     
      ε:定数

    繰り返し変動応力では
    

    エネルギー密度を基礎とすると
   
     2つのクリープ機構(2重べき乗則クリープ)では
   
  SnPb共晶では
  




  NESACでは
   
     高応力(機構U)より低応力が2.3倍ねばい。標準誤差は0.08と0.002で低応力は高バラツキ


  SACの寿命予測



   2重べき乗クリープ
     全蓄積クリープひずみとエネルギー密度接近法



   sinhx関数クリープ


  (温度サイクル)


  時間独立塑性の影響・・・熱サイクルには必要ない


Lee

  高応力範囲ではほとんどの金属クリープひずみ速度は応力指数項に比例しなくなる。
 (従ってこの範囲をいかに改善するかが課題となっている、予測式が複雑になるほど近似性はよくなるが
  使い勝っては悪くなる。)

  はんだ合金クリープモデル

   Dornの式
     粒寸法と応力指数項の影響
     
         G:せん断剛性係数、b:バーガー・ベクトル、d:粒寸法、

   Anandモデル
     
            ξ:応力乗数、s:内部変数
        定常クリープに対しての近似は
     
   Panの粒寸法によるAnandモデル修正
     
  DarveauxとBanerjiの式
    モデルBと似ているが、せん断剛性係数は温度の関数
     
  Shiのモデル
     
  Shiらの別の経験に基づく修正式
     
  筆者らのはんだ合金の温度依存性と粒寸法の影響を考慮したAnandの修正式
     

     

  結果の比較
   ShiらのSn−37Pbによる結果



H Ma Auburn大



 クリープ破断

Zhang
  SAC387


  クリープ寿命
   Larson−Millerパラメーター
     



   Goldhoff−Sherbyパラメーター
     


  Manson−Haferdパラメーター
     




  Larson−MillerとGoldhoff−Sherbyは低応力で実験結果とずれてくる。
  破断モードは高応力、低応力ともディンプルをもつ延性破断だが、破面付近の表面形態に大きな差がある。
  低応力では多くのボイドがあり、この蓄積で最終破断に至る。
  高応力では粒界すべりが支配的でこれにより終破断に至る。


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