(13−3−2) クリープの概要
クリープは降伏応力以下の一定の応力での時間依存の塑性変形。通常は高温で見られるが、はんだはホモロガス温度が
常温付近にあるため、低い温度でもクリープしやすい。
クリープを特徴付けるひずみ−時間曲線の模式図は
NPL
瞬間ひずみから始まり、遷移クリープ、定常クリープ(ひずみ速度一定)、加速クリープの3段階からなる。
通常は定常クリープを問題とする。
ワシントン大
応力と温度の影響
クリープひずみ−時間曲線とクリープひずみ速度−時間曲線
Zhang
最小ひずみ速度・・・定常クリープでのひずみ速度(クリープ速度)
ひずみ速度=係数x(応力)
n n:応力指数
Nortonの式・・・温度の影響
ひずみ速度=係数x(応力)
nxexp〔−Q/(RT)〕
クリープひずみ速度−応力曲線
クリープの評価に最もよく利用されるのはひずみ速度−応力曲線である。
これは 係数x(応力)
n の形式のプロットがよく利用される。
nはクリープ機構あるいは応力により変化する。
当然低ひずみ側であるほど耐クリープ性が良いことになる。
係数x(応力)
n の形式は高応力でずれが大きくなるため、広範囲の近似をよくするためにはより
複雑な式が提案されている。
ひずみ速度−応力曲線はまた、クリープ温度、エージング(組織安定性)によって変化する。
SAC系ではAg量(0〜4%)によっても変化する。
*定常クリープの機構
高応力:転位クリープ、n=3〜8
低応力:拡散クリープ、n=1
ワシントン大
クリープで実用的に重要なのは応力−クリープ破断時間曲線である、
ワシントン大
クリープ破断への温度の影響
筑波大
温度補償時間を利用。
Larson−Miller法
を基礎とする。
Sherby−Dorn法
クリープ破壊
主に粒界で起こり、粒界すべりによる三重点でのくさび形亀裂と空孔の拡散(と合体)によるキャビティに大別
変形機構は(変形機構図) *
ここの図を一部改変
はんだ合金の変形図は
Zhang
ホモロガス温度の影響
Zaal
クリープでのひずみ速度
ひずみ速度は各種試験で通常
静的引張試験 10
−3〜10
−2s
−1
クリープ速度 10
−8〜10
−5s
−1
熱サイクル試験 10
−4〜10
−2s
−1
落下試験 約10
3/s
恒温疲労試験 10
−4〜10
−2s
−1 (1〜0.001Hz)
Fei
Subbarayan
はんだ合金の挙動
応力あるいはひずみ速度の構成モデル
温度とクリープ
ホモロガス温度 SAC387≧0.7
クリープ段階 定常クリープ速度
歪−時間曲線と応力ひずみ速度曲線
低ひずみ速度 10
−6s
−1〜1s
−1
データのバラツキ
はんだ接合とバルク(ドッグ・ボーン)試料の違い
接合での応力−ひずみ不均質性
変位−荷重曲線から歪−応力曲線の推定 →構成モデルが必要
材料の特徴化 →単調応力−歪とクリープ
応力−歪曲線と歪−時間曲線
応力−歪の評価にはアスペクト比が重要な効果
単調とクリープデータ
SACでの単調とクリープの等価性
Zener Hollomonパラメーター
Z=ひずみ速度exp(Q/RT)
ひずみ速度と温度効果の等価性
遷移クリープ
クリープ例
Morris Jr 2005
クリープの段階
定常クリープ
Dornの式
ひずみ=A(応力)
n〔−Q/kT〕
機構は応力で変化
n:応力指数
Q:活性化エネルギー
体積拡散
粒界拡散
機械的特性
定常クリープ・・・応力−ひずみ速度
せん断強度・・・ひずみ速度−応力
応力緩和・・・時間−応力
クリープからの強度予測
クリープとせん断強度データは重なる。
応力緩和試験
時間−応力曲線(定ひずみ)から応力−ひずみ速度曲線
応力緩和データはクリープと良く一致。
Snリッチはんだ
機械的特性はSnマトリクスが支配
高応力指数
応力指数は温度依存
Snのクリープ
高応力指数
流動応力は弱く温度とひずみ速度に依存
応力緩和は393Kでも遅い
強い基材効果・・・クリープデータに一貫性がない
微細構造効果
界面IMC(特にNi/Au)
粒寸法と集合組織
高nの結果
低い温度とひずみ速度感受性
非常に遅い応力緩和
298Kでの応力緩和
高nで緩和抑制
基材効果
共晶はんだの特性
モリスJr
定応力でクリープさせたとき定常クリープは最小ひずみ速度を示す。
逆に定ひずみ速度では定常クリープが最大応力を決め、せん断強度の上限となる。
従ってせん断強度は定常クリープ曲線から推定される。
共晶Sn−In
粒寸法増加ではんだは硬化し、特に低ひずみ速度で中間クリープが消える。
Shi
Sn−37Pb
Theeven
Morris Jr
共晶Sn−Pbでの粒寸法(コロニー)のクリープ速度への影響の模式図
低中ひずみ速度でのせん断強度
16
基材の影響
Sn−37PbでのクリープへのAuの影響
疲労へのAuの影響(Sn−Pb共晶)
koko Ross Jr