(11−8−2) Cu|はんだ|Niの界面での電極間交互作用

 実際の相互接合ははんだがPCBと電子部品を接合するのがほとんどであり、2ヶ所の接合界面が存在し、その間隔は極めて狭いのが
普通である。
 その場合、両界面間の交互(交差)作用が存在する場合がある。
 界面はCu|はんだ|Cu、Cu|はんだ|Ni、Ni|はんだ|Niが代表的であるが特にCu|はんだ|Nの界面の組み合わせで特異な
現象が生じる。


(A) Cu非含有はんだでのCuとNi(同時リフロー)

Kao 相互作用

 電解試料(リフロー無し)でのエージングの影響



*Ni上に生成するIMCは溶解Cu量に依存するとされる。

Laurila 


Ho Cu組成
 Cu<0.3%:(Ni,Cu)3Sn4
 Cu=0.4〜0.5%:(Cu,Ni)6Sn5/(Ni,Cu)3Sn4
 Cu>0.6%:(Cu,Ni)6Sn5


Chang


 交互作用(100μm間隔)、160℃、30分エージング


 交互作用 160℃、1000時間
  100μm間隔                             400μm間隔


 長時間エージングで交互作用進展し、Ni側IMCが(N,Cu)3Sn4から(Cu,Ni)6Sn5に変化

 交互作用なし(一方対)


 固相反応でのIMC成長の比較


  Cu側の(Cu,Ni)6Sn5が厚い。
  間隔の影響は小さい。

 固相反応でのCuまたはNiの消費の比較


 Cu側の(Cu,Ni)6Sn5が厚いにもかかわらずNi消費はNi側の(Cu,Ni)6Sn5が多い。
 Niへの(Cu,Ni)6Sn5形成でNi/Sn単独の場合よりNi消費減少。




王博士論文 台湾国立中央大

  Cu、Niは箔、RMAフラックスで250℃でリフロー




 Sn/Ni側界面がSn/Cu側界面より顕著に厚いという結果!



Wang 台湾国立中央大
 同様の実験

 250℃での反応

Wang

(a)10秒



 両者計>単独>Cu側>Ni側

(B) 反応経路による差

Kao 相互作用
 反応経路による差


 Cuは交互作用で消費が促進、一方、Niは交互作用で消費が抑制。(ともにNi側への(Cu,Ni)5Sn5形成の影響)

 














Ho
 はんだ接合を横断してのCuとNiの交差作用
  溶融はんだとの反応での交差作用
    リフロー経路の差



  PathT:Cu側リフロー→Ni側リフロー(同時Cu側再リフロー)
   では最初のリフローでSn−3.5AgとCuの典型的なほたて貝殻状Cu6Sn5、
   溶解した多量のCuのため長いCu6Sn5棒がはんだ中に析出。
    第2回では溶解したCuの影響でNi側には(Cu,Ni)6Sn5が形成、
   Cu側のIMCにはNiが固溶し、(Cu,Ni)6Sn5となる。


  PathU:Ni側リフロー→Cu側リフロー(同時Ni側再リフロー)
   では最初のリフローでNiに薄いNi3Sn4形成。
    第2回では溶解した微量のNiの影響でCu側にはNi量の異なる2層の(Cu,Ni)6Sn5が形成、
   (はんだ側がNi多い)
   Ni側には固溶したCuの影響でIMCのはんだ側は(Cu,Ni)6Sn5に変化。
   FIBで見ると(Cu,Ni)6Sn5の下に薄い(Ni,Cu)3Sn4が存在。

  固体はんだ(エージング)との反応での交差作用


  PathUはNiの溶解効果でCu3Snが薄く、Kirkendallボイドが見えない。


Cheng
 経路
  Ni|SnAg|Cu → Ni|SnAg(第1回リフロー)→Ni|SnAg|Cu(第2回リフロー)
  Au/Ni/Cu|SnAg|Cu → SnAg|Cu(第1回リフロー)→Au/Ni/Cu|SnAg|CuCu(第2回リフロー)
  ボール:φ760μm、パッド:φ600μm、電解Ni/1μmAu、無電解Ni(10P)/0.03μm置換Au

 Ni|SnAg|Cu → Ni|SnAg(第1回リフロー)→Ni|SnAg|Cu(第2回リフロー)
 Cu側                         Ni側




 電解Ni/1μmAu
 SnAg|Cu(第1回リフロー)→Au/Ni/Cu|SnAg|CuCu(第2回リフロー)
 Au/Ni/Cu側                  Cu側




 Auの固溶でIMC成長抑制。


Kang SAC

SAC387












(C) Cu|SAC|Cu、Cu|SAC|Ni、Ni|SAC|Niの比較

華南理工大
 SAC305、電解Ni/Au(フラッシュ)、ボール:直径0.6mm
 第1回リフロー SAC|Cu 第2回リフロー Cu|SAC|Cu(Ni)









(D) Zn含有はんだ

Sun
 Sn−Ag−Bi/Cu→Cu−Sn
 Sn−Zn−Bi/Cu→Cu5Zn8
 Sn−Ag−Bi/Ni→(Cu,Ni)6Sn5 
 Sn−Zn−Bi/Ni→Sn−Ni−Cu−Zn


Sn−3.5Ag−3.0Bi/Ni(P)  


 Sn−8.0Zn−3.0Bi




 Sn−3.5Ag−3.0BiでNiに形成された(Cu,Ni)6Sn5はCuのCu−Sn IMCより成長が速い!
 一方、Sn−8.0Zn−3.0BiによりNiに形成されたSn−Ni−Cu−Znは成長が抑制された。

(E) 各種はんだ

国立交通大Shao
 バンプ化ダイ(0.7μmCu側)、バンプ化基板(Ni側)と
 バンプ化ダイをはんだ印刷した基板パッドでFCB(下図)
 はんだ:共晶SnPb、Sn−3.5Ag、SAC387、Sn−5Sb
 リフロー温度:SnPb(210℃)、SnAg、SAC(250℃)、SnSb(280℃)
 UBM径:105μm、NiはNiP
 

 SnPb


 Sn3.5Ag


 Sn5Sb


 SAC387


 FCB
  SnPb


  Sn3.5Ag


  Sn5Sb


  SAC387





 交互作用がおきにくくなっている→Cuが薄いことと、NiがNiPのため?


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