(8−4) はんだ接合及びBGA・バンプの結晶粒組織
(8−4−1) 結晶粒組織観察
はんだにおいて結晶粒の観察によく利用されるのは交差偏光像であるが、交差偏光像ではコントラストと粒方位の関係は不明であり、
更に詳しい粒界性格の観察に利用されるようになったのが電子後方散乱回折EBSDを基礎とする結晶方位像解析装置(顕微鏡)OIMである。
結晶方位図、特定の方位差の結晶粒図、特定の方位差の結晶粒界図、結晶方位差分布ヒストグラムなどがよく利用される。
Krause 偏光像とEBSDによる
日本鋼管 寺島
傾角の違いによるマッピングでは境界の性格(粒界>15°>亜粒界)がはっきりする。
Chen
SAC305、−。ボール:3mmφ
Pbフリーはんだ、特にSn−Ag−Cu系はSn−Pbはんだと異なり高SnであるためβSnの特性の影響を大きく受ける。
βSnは物理的、機械的性質の異方性の大きい金属である。しかもBGAやCSPなどのはんだボール、はんだバンプでは
1、2個の結晶粒からなることもあり、結晶粒組織の研究が重要となっている。
Chen
凝固組織の粒構造例
(a)単一粒構造、(b)ビーチボール構造、(c)組み合わせ(織り交ぜ)interlaced構造例。
複数の粒よりなる場合は通常〔100〕軸周辺で約60℃回転している(双晶)。
組み合わせ構造の微小ヴィッカース硬度、微粒部分が硬い。
MANHATTAN計画 Phase1 2009
Univesal Instuments
Coyle
Bieler 粒径と配向の影響
小さな試料では双晶が生じやすい。
通常は種々の方向
Arfaei 粒数と配向の影響
寿命は粒数に強く依存し、単結晶では結晶の配向に依存する傾向がある。
(8−4−2) 組成と結晶粒構造
レンセラー大・ハートフォード校-無鉛はんだ Pierce 2010Ag、Cuの影響
Cu無添加だと微細多結晶、Cu添加で単結晶ないし3結晶(共通〔100〕軸周りの60°
の結晶方位差)、Ag無添加で60°からずれ、色々な他の結晶方位差をとるようになる。
Sn−1AgとSAC305で結晶方位差分布は似ているが微細構造は全く異なる。
Sn−1Agは微小粒寸法のため低角粒界がほとんどないが、SAC305では大きな粒に
多くの低角粒界が存在。
60°の結晶方位差の選好性は双晶凝固を示唆する。
Roggeman UIC 2009
SAC305、SAC105、SCN:Sn−0.7Cu−0.05Ni/Ge
基板OSP、パッケージENIG
SCN/SCN、SAC305/SAC305、SAC105/SAC305(ボール/ペースト)アセンブリ
SAC305、105は大きな2,3の粒、SCNは不規則な粒界の6、7個の粒
Lindley
不均一核生成サイトとして析出粒子が作用する。
Liu
Ti添加で粒数少なくなる、Mnは影響小さい。
IBM Seo
Sousa
Cuとの接合、0.635mm球
Mueller
組成効果
Cuが多いと大きな粒が形成される。
高傾角の非常に対称的配向を示す。
大きな粒は微細構造で鏡面対称となっており双晶であると考えられる。
Lehman粒成長
SACでのSn粒径はAg、Cuの影響を受ける。
Cuの影響例
Ag3Sn、Cu6Sn5の数と大きさははんだの機械的応答に影響
2種類のオーダーの異なる析出物
mmと数μmの析出物
大きなはんだボールにはわずかなSn粒、これらは高度に配向。(双晶)
小さなCSPやFCでは組み合ったSn粒構造がよく生じる。
過冷却度とボール径が逆比例、小さいCSP、FCが過冷却しやすい。
基板ないしは部品側近くで組み合ったSn粒構造が生じる。
熱サイクルの影響
通常、部品/はんだ界面に弓状に亀裂発生。
基板位置が影響、中立点からの距離DNPとともに荷重増加。
亀裂は粒界から発生。亀裂はボールの角からは発生していない。
Telang
Barbini
LGA(ランドland・グリッド・アレー)とBGA、
径0.254、0.30、0.40
SAC305、−40〜125℃
SAC305の各種接合部での粒形態
ランド・グリッド・アレイLGA
BGA
0.4mmボールでは1粒またはビーチ・ボール
0.254mmは組み合わせinterlaced双晶
0.3mmは多くは1粒またはビーチ・ボールだが組み合わせinterlaced双晶を含む場合もある。
ボール径(mm) |
ピッチ(mm) |
温度サイクル(℃) |
1%故障 |
63.2%故障 |
β |
フィット(r2) |
0.254 |
1.0 |
0/100 |
1316 |
3908 |
4.228 |
0.937 |
1.4 |
396 |
1516 |
3.231 |
0.902 |
2.2 |
82 |
446 |
2.760 |
0.957 |
0.30 |
1.0 |
320 |
6384 |
1.538 |
0.951 |
1.4 |
250 |
699 |
3.725 |
0.916 |
2.2 |
73 |
303 |
3.252 |
0.886 |
0.4 |
1.0 |
690 |
4211 |
2.543 |
0.970 |
1.4 |
4101(?) |
1291 |
4.015 |
0.838 |
2.2 |
151 |
653 |
3.150 |
0.896 |
0.254 |
1.0 |
−20/100 |
880 |
4386 |
2.965 |
0.942 |
1.4 |
468 |
1500 |
3.951 |
0.983 |
2.2 |
59 |
380 |
2.474 |
0.979 |
0.30 |
1.0 |
284 |
5549 |
1.549 |
0.820 |
1.4 |
144 |
526 |
3.556 |
0.869 |
2.2 |
32 |
254 |
2.235 |
0.949 |
0.4 |
1.0 |
711 |
4244 |
2.576 |
0.972 |
1.4 |
381 |
1270 |
3.822 |
0.981 |
2.2 |
131 |
656 |
2.860 |
0.940 |
0.254 |
1.0 |
−40/125 |
339 |
1917 |
2.659 |
0.834 |
1.4 |
144 |
815 |
2.660 |
0.976 |
2.2 |
28 |
201 |
2.359 |
0.960 |
0.30 |
1.0 |
173 |
2214 |
1.805 |
0.979 |
1.4 |
110 |
394 |
3.604 |
0.918 |
2.2 |
47 |
172 |
3.573 |
0.929 |
0.4 |
1.0 |
732 |
2709 |
3.517 |
0.933 |
1.4 |
216 |
862 |
3.325 |
0.901 |
2.2 |
54 |
322 |
2.588 |
0.979 |
結果のワイブル分析
DNP:はんだ接合の中立点からの距離
Park
Seo
IBM
日本鋼管 寺島
結晶方位図と逆極点図、結晶粒図
初期は2個の大きな粒と数個の小さな粒、これらは50μm以上の亜結晶粒からなる。
2個の大きな粒と数個の小さな粒、これらは50μm以上の亜結晶粒からなる。?
(ほとんど単結晶に見える)
アニールで<110>方向に近い粒が優先成長。
Barbini
LGA(ランドland・グリッド・アレー)とBGA、
径0.254、0.30、0.40
SAC305、−40〜125℃
SAC305の各種接合部での粒形態
ランド・グリッド・アレイLGA
BGA
0.4mmボールでは1粒またはビーチ・ボール
0.254mmは組み合わせinterlaced双晶
0.3mmは多くは1粒またはビーチ・ボールだが組み合わせinterlaced双晶を含む場合もある。
ボール径(mm) |
ピッチ(mm) |
温度サイクル(℃) |
1%故障 |
63.2%故障 |
β |
フィット(r2) |
0.254 |
1.0 |
0/100 |
1316 |
3908 |
4.228 |
0.937 |
1.4 |
396 |
1516 |
3.231 |
0.902 |
2.2 |
82 |
446 |
2.760 |
0.957 |
0.30 |
1.0 |
320 |
6384 |
1.538 |
0.951 |
1.4 |
250 |
699 |
3.725 |
0.916 |
2.2 |
73 |
303 |
3.252 |
0.886 |
0.4 |
1.0 |
690 |
4211 |
2.543 |
0.970 |
1.4 |
4101(?) |
1291 |
4.015 |
0.838 |
2.2 |
151 |
653 |
3.150 |
0.896 |
0.254 |
1.0 |
−20/100 |
880 |
4386 |
2.965 |
0.942 |
1.4 |
468 |
1500 |
3.951 |
0.983 |
2.2 |
59 |
380 |
2.474 |
0.979 |
0.30 |
1.0 |
284 |
5549 |
1.549 |
0.820 |
1.4 |
144 |
526 |
3.556 |
0.869 |
2.2 |
32 |
254 |
2.235 |
0.949 |
0.4 |
1.0 |
711 |
4244 |
2.576 |
0.972 |
1.4 |
381 |
1270 |
3.822 |
0.981 |
2.2 |
131 |
656 |
2.860 |
0.940 |
0.254 |
1.0 |
−40/125 |
339 |
1917 |
2.659 |
0.834 |
1.4 |
144 |
815 |
2.660 |
0.976 |
2.2 |
28 |
201 |
2.359 |
0.960 |
0.30 |
1.0 |
173 |
2214 |
1.805 |
0.979 |
1.4 |
110 |
394 |
3.604 |
0.918 |
2.2 |
47 |
172 |
3.573 |
0.929 |
0.4 |
1.0 |
732 |
2709 |
3.517 |
0.933 |
1.4 |
216 |
862 |
3.325 |
0.901 |
2.2 |
54 |
322 |
2.588 |
0.979 |
結果のワイブル分析
DNP:はんだ接合の中立点からの距離
Krause
偏光顕微鏡ではわからない局部的結晶方位の違いがある。