Pbフリーはんだの金属学的基礎

(19−3) 電極溶解 

   Pbフリーはんだ接合で大きな問題となった現象のひとつに電極(パッド、ランド)あるいは配線traceのはんだによる溶解がある。
   Pbフリーはんだは高Snでありかつ融点が高いためSn−Pb共晶はんだより電極溶解が激しい。
   しかしながらSnはまた他の金属と金属間化合物IMCを形成し、このIMCが溶解の障壁となりうること、IMCの溶解の障壁性はIMC種、
  IMCの形態(モルフォロジーmorphology)によって異なるために単純ではない。
   Snに溶解した金属は基本的に界面あるいは場合によってはバルクはんだ中でIMCとして存在する。
   溶解はリフローのようにはんだ量に制約・制限がある場合と、浸漬のように電極に対しはんだ量がかなり多い場合、あるいはウェーヴ・フローの
  ようにかなり激しくはんだ噴流が電極に接触する場合では差が生じる。
   また電極あるいは金属化層metallizationの形状、構造によっても溶解の程度は異なる。
   Pbフリーはんだ付けで電極あるいは金属の溶解が問題となったのは、電極あるいは配線の他に、スルーホールTHのひざ(ニーknee)、
  はんだのこて先のFe、フロー槽等であった。

   なおはんだによる金属の溶解はフロー槽等に関しては阪大・竹本氏らは溶食ersionということばを使用する。
   英語でもdissolutionが主と思われるがleachingも使用される。

(19−3−1) Snあるいははんだへの金属の溶解

   通常Snへの金属の溶解は貴金属ほど多く
      Au>>Ag>>Cu>Pd>Ni、Fe、Co、Pt
  の系列とされる。これはIMCの形成されやすさの傾向でもある。

@ 状態図からのSnへの主な金属の溶解度推定

 Aalt大

 ・Cu
  中程度の溶解度:300℃で5原子%以下。


 ・Ni
 溶解度小:300℃で1原子%以下。
 界面近傍にのみ存在。


 ・Au
  高溶解度:300℃で約23原子%。
  強相互作用。


 ・Ag
  やや高溶解:300℃で約11原子%。


 ・Pd
  中程度


Pt
 
   
   

 ・Fe



 ・Co
  ChenらによるとCoは250℃で0.04wt。


 以上、Pt、Fe、CoはNi同様溶解度は小さい。

 ・Al



 相平衡の考えからいえばはんだが電極成分元素を含有していると電極の溶解は抑制される。
 もうひとつ重要なのは界面に形成されたIMC相の溶解障壁(バリア)効果である。
  密なIMC層か疎なIMC層か、
  IMC層が反応種を拡散しやすいかどうか。

ZAKRAYSEK (固溶度)



拡散
Chao


A はんだへの主な金属の溶解


 Zeng
 


ISFH
 はんだ?



 *式:r=A(−B/T)=A(−Q/RT) r:円軸方向溶解

  はんだへのCuの溶解




 Rahn
液体Snと固体金属

Vianco (Baderら)
 Sn−37Pb



KaistのSeo



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