Pbフリーはんだの金属学的基礎

各種はんだの表面状態例

( ) 非共晶

 Sn-Sb(包晶) 状態図
高温 (5Sb、10Sb)、
 

() 共晶

 Sn-Au 状態図
Yoon
 Au−30at%Sn ζ(Au5Sn)とδ(AuSn)の共晶
 



 Sn−Bi 状態図


 Sn−Zn 状態図


 Sn−In 状態図
 共晶はβ+γ


Chuang


相互接合による組織(Sn−InとCu及びNi)





IBMのKang
 Sn-Bi共晶組織


 Sn-Sb共晶組織



 Sn-Cu共晶組織


 Sn-Zn共晶組織



Chuang


Ma


() Sn−Pb

 Sn−Pb 状態図


 Sn-Pb2元系の組成による組織変化

 →状態図

 高Sn側
 

 共晶近傍
  

 高Pb側


() Sn−Cu、Sn−Ag

 Sn-3.5Ag→状態図 

 長岡科技大のZhaoら

 
 Auburn大のWang


Ochoaら 共晶Sn-Ag


Shen

徐冷、(a)熱処理なし、(b)453K,6日、(c)453K、12日

 水冷、(a)熱処理なし、(b)453K,6日、(c)453K、12日


 Sn-Cu 状態図

Huhら

光学像

ザガジグ大 El−Daly(2011)ら


ザガジグ大 El−Daly(2011)ら





(2−3) 3元合金


(2−3−2) 3元系の組織例

 Sn-Ag-Cu

シンガポールのマイクロエレクトロニクス研究所のChe(2010)


*Sn-3.0Ag-0.5CuをSAC305などの様に称する。



Sn−Ag−Cu(SAC)3元系 NISTなどにより詳しく調査されている。 →SAC NIST phase
 SAC3元共晶組織



   SEM像

Cu過共晶組織


Ag過共晶組織


IMC






http://alexandria.tue.nl/extra2/200711956.pdf →erinc IMC 基礎

参考


 Gong

 

 共晶近傍(NE)SACの凝固組織は通常、βSnのデンドライトが微細な共晶組織で囲まれたデンドライト組織であるが、
熱サイクルなどでは再結晶によりIMCが分散した等軸状組織となる。
 
SAC NE

Kang IBM 




Toux

 デンドライトはしばしば同じ結晶方位でコロニーとして集まる。
 

SAC357



カリヤ  



Mattila


Pecht





wpeng
 Weiqun Peng HUT−EPT 14


Shang





Zeng
 SAC387
 等軸組織
   250℃で30分保持し、180℃予熱の鋼製鋳型に鋳造し、その後3ヶ月室温でエージング。
 デンドライト組織
   250℃予熱のアルミニウム製鋳型に鋳造し、鋳型ごと水冷。



Lehman粒成長

 Sn デンドライト腕の寸法はSACはんだボール寸法減少とともに減少。


grain
 Mueller
体積が小さくなるとデンドライトは微細になりやがて連続的となりついにデンドライトは消滅。
 βSnマトリックスにIMC析出した組織となる。



千住の説明(2004年 鉛フリー実装フォーラム) 


Henkel


はんだボールの凝固 Kim
SAC305




Mattila
 mattila 再結晶支援亀裂

 Mattila

2.Snリッチはんだ相互接続の凝固組織
 SACの共晶組成はSn−3.5Ag−0.8Cu付近とされるが、最もよく使用されるSn−3.0Ag−0.5Cuは亜共晶
 である。亜共晶ではβSn(Snリッチ相)が初晶であるが、共晶近傍合金は高Sn(Sn>95%)なため凝固と生じる微細組織は
 βSnが初相であろうとなかろうと、βSnの凝固の影響を著しく受ける。このため接触する金属の溶解ははんだ組成を変化させ
 凝固に影響する。
  凝固部の断面 コントラストの違う領域の境は高傾角粒界(15°以上)で、一つ一つの結晶粒は一様な方向のセル状組織よりなり、
 このセル状組織は小傾角粒界(5°以下)をなしている。
  このように通常はんだ相互接合部は一様な方向のセル状組織よりなる少数個の結晶粒(通常傾角15°以上)よりなっている。

  セル状組織の他デンドライト形態(モルフォロジー)も生じる。モルフォロジーは凝固条件、はんだ組成に依存する。
  はんだの量は凝固で形成される微細組織に影響し、大はんだ量ではデンドライト組織が生じやすい。
 パッド金属の影響ではNiは高Snはんだへの溶解量が少なくすべて界面の金属間化合物層形成に消費されるが、Cuの溶解量は多く
 はんだ組成を変化させ初晶をCu6Sn5に変化させる微細組織に(六方晶)筒状あるいは丸棒状のCu6Sn5が見られる。
  この結果非整合なCu6Sn5とSnマトリクスの高傾角粒界は再結晶の核生成のよいサイトとなる。(析出誘起再結晶)
  実際の凝固は平衡凝固からずれ、過冷却により亜共晶でもSg3SnあるいはCu6Sn5が初晶として析出しやすい。
 その際、パケージあるいはPWB側界面より溶融部の自由表面、特に液体表面の酸化物などが界面より核生成サイトとなりやすい。


  またSnの過冷却が大きいことが相互接合部のSn結晶粒の少ない事の一つの理由である。
  更に隣り合う結晶粒は双晶であることが多く、結晶方位差(傾角)は約60°を示す事が多く、これはこれら結晶が共通な核から生じて いることを示唆する。
3.回復と再結晶の役割
3.1 Snリッチはんだ合金の復旧Restoration
  Snリッチはんだは回復を起こしやすく、動的付加条件のような特殊な付加条件でのみ再結晶を起こすと思われる。
  
  熱サイクルの相互接続部
 3.2 初期段階 回復と微細構造の粗化



3.3 後期段階 再結晶による組織変態

 


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