(17−3−6) 香港市大のChanらの電流負荷でのはんだ相互接合の破壊の概観


香港市大 Chan  先端電子パッケージの電流負荷でのはんだ相互接続の破壊機構(概観)
   はんだは高ホモロガス温度を有し、これと高電流密度(これに伴うジュール発熱)で高格子拡散が考えられる。
   これにより
    エレクトロ・マイグレーションEMの発生
    シリコンのAlがはんだあるいは基材のCuより抵抗が大きく従って発熱量も多い→UBMの劣化
    IMC形成の加速
    原子がEMによりカソードからアノードに移動し接合に圧縮領域と引っ張り領域が発生→応力の発生と緩和が生じる
    熱マイグレーションが発生←各要素の電気抵抗と放熱性の違い
   などが生じる。


  電子風力でのはんだ接合のEM
    相分離と電流負荷での原子輸送
      共晶SnPbでの相分離・・・100℃以下ではSnが速く拡散、以上ではPbが速い
      共晶SnBiも同様の挙動


      高Snはんだ(Sn3.5Ag、Sn0.7Cu、Sn4Ag0.5Cu)では相分離は無視でき、UBMの溶解とIMC形成
     が重要。

   電流負荷促進相粗化




   界面でのボイドの核生成と成長
    EMで相分離と粗化だけでなく界面でのボイドの核生成が起きる。


    電流の流れに伴いPb富化相がアノード側に移動し、蓄積。


   局部的な高電流密度部分が生じ空孔が蓄積し、ボイド生成がおきる。


    ボイドは角から始まり、横方向へ成長。

  ジュール熱促進UBM溶解とオン・チップ金属相互接続の拡散
   電流負荷によるジュール熱効果


    Al配線が主な熱源。

   UBM溶解と可能な解決策

    UBM:Ti(0.2−0.5μm)/Ni(V)(0.325μm)/Cu(0.5−1.0μm)

    βSn粒の回転→電流の流れに沿ってSn粒再配置→抵抗減少、c軸に沿ってのNi/Cu拡散促進→UBM溶解
    AgがUBM溶解緩和、Zn添加が効果

   Al拡散によるはんだ接合の溶融

     Al/Ni(V)/Cu UBM


   Niが時間とともに徐々に消費され、完全に消費されるとV層が損傷する。
   更にAlがはんだ接合内に広がっていく。

 


   

  IMC形成での電流負荷効果と動力学解析
   電流負荷の極性効果とアノードでのIMC成長促進
      Cu/Sn3.8Ag0.7Cu/Cu



    IMC成長速度はアノードとカソードで大きく異なり、アノードが厚い。

   カソードでのIMCの動的平衡



   IMC形成での電流負荷の異常極性効果
     SnPb、SnBiでのPb、Biのアノードへの偏析(富化)の影響。


    共晶SnBiではIMC層はカソードで速く成長。


    カソードでのIMC層厚みは双曲線成長。

   異常極性効果の可能な説明はBiのEM誘起後方応力。
   同様の現象はSnZn共晶でも見られる。

  EMでのはんだ相互接合の応力関連劣化

   はんだ相互接合でのEMと後方応力による形態的進展
     電子風力で原子がカソードからアノードに押しだされるとカソードは圧縮状態、アノードは引張状態となる。
     圧縮応力はヒロックあるいはウィスカ形成で緩和される。





    SnAgCuのEM速度はSnPbより小さいように見える、これは後方応力によると説明できる。

   電気的力と機械的力による原子の流束






   電子風力と熱機械的応力の結合効果が考えられる。


   電流負荷での機械的変形と劣化






    界面は徐々に脆くなっていく。



  熱勾配下でのはんだはんだ相互接合のTM挙動
   Sn−Pbはんだ相互接合での熱マイグレーションTM

     150℃、5hで1000℃/cmの温度勾配

    電流が流れていない12、9でSn(暗い領域)がチップ側(高温側)に移動し、Pb(明るい領域)は基材側に(低温側)。








        

     放熱の影響

       はんだの中心より周辺(外側)でTM効果が顕著。


   TM過程でラメラ構造は微細化する。

   Sn基Pbフリーはんだ相互接合でのTM

    EM効果を除くため交流使用。
    ヒロックがチップ側(高温側)に生成。

   Cu/Sn4Ag0.5Cu/Cuはんだ接合での微細構造進展
     温度勾配1000−1200℃/cm
      TMと恒温処理の2つの主要な微細構造の差はTM試料でのCu3Sn層の低温側、高温側の両側での欠如と
     高温側でのCu6Sn5層の薄化。




    電流方向を変えTM効果を相殺あるいは促進。
    TMがEMを相殺するとBi拡散抑制。(case1)
    TMがEMを手助けするとBi拡散促進。(case2)


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