(11−8−5) NiP基材での剥離

 Sohnらによると無電解NiPではSn−3.5AgでもSACと異なる機構でIMC剥離が発生。

Sohnら
 無電解Ni−P、P:4.6(ナノクリスタル)、9(部分アモルファス)、13wt%(完全アモルファス)
 Sn−3Agはんだ堆積法の影響
   電解<プリフォーム<ペーストで剥離しやすい。
 P量の影響
   Pが多いと剥離しやすい、リフロー時間が長いと剥離しやすい。
 はんだ量
   はんだ量が多いと剥離しやすい。
 Ni−Sn IMCの形態が影響  
   針状がずんぐりとしたchunky形態より剥離しやすい。
  
   針状                                      ずんぐりとしたchunky形態

 Ni−Sn−P IMC形成が剥離を促進

  Snが結晶体Ni3P層に浸透し反応してNi−Sn−Pが形成されるとNi3Sn4/Ni−Sn−P界面で剥離が起きる。
  針状IMCはSn浸透の経路となりやすい。
  Sn−0.7Cu、Sn−3.8Ag−0.7Cu(Cu含有はんだ)がIMC剥離しにくいのは針状IMCを形成しにくいから。
 


Sohn 
 Sn−3.5AgではNi3Sn4が形成されNi(P)から剥離。
 SAC305ではCu−Ni−Sn 3元IMCが形成され剥離はおきない。
 Sn−3.5AgではNi3SnPを通って脆性破壊が起きた。
 Ni(P)膜への薄いSn、Cu堆積がIMC剥離を顕著に抑制。
 Cu中間層は層状Cu−Ni−Sn 3元IMCを形成し拡散バリアとなりNi(P)消費を抑制。

 SAC305とNi(P)
  第1リフロー:層状(Cu,Ni)6Sn5形成
  第2リフロー:(Cu,Ni)6Sn5の上に(Ni,Cu)3Sn4が形成、時間と共に(Cu,Ni)6Sn5の下に(Ni,Cu)3Sn4形成し(3層化))、
           (Cu,Ni)6Sn5が分離separate(写真では角ばった塊が遊離)

 Sn3.5Ag
  第1リフロー:針状Ni3Sn4形成
  第2リフロー:時間とともにNi3Sn4の剥離spalling増加。(大規模剥離ではない)
          (時間とともにNi3Sn4の下にNi−Sn−Pが形成され、Ni3Sn4が剥離)


 *(c)、(d)、(e)、(f)は第2回目リフローで時間変化

 剥離挙動はIMC形態とNi(P)膜の結晶化に密接に関係。
  Ni3Sn4ははじめ針状形態に成長、3元IMCは層状に形成される。
  層状IMCがはんだとNi(P)の反応を減少させる。
  溶融Snは針状Ni3Sn4の通路を通って容易にNi3Sn4とNi(P)の界面に到達。
  Ni3Sn4の下のNi(P)の一部がP富化のためNi3Pに結晶化。Ni3P層の上には
 薄いナノ結晶体Ni−Sn−P層(Ni3SnP)が存在。
  Ni3SnPはNi3Sn4剥離を引き起こし、Ni消費とNi(P)結晶化は剥離で加速される。
  剥離後もNi3SnPは成長し続けるので残存Ni(P)はSn3.5AgがSAC305より薄い。

 
 *文ではSAC305でもリフロー6分で(Cu,Ni)6Sn5の下から(Ni,Cu)3Sn4が成長し、(Cu,Ni)6Sn5が剥がれるとする。

  IMC剥離と脆性破壊の関係
    Ni3SnPが機械的に弱く、ここで脆性破壊、Kirkendallボイドが起き、これが原因。
    3.5Agだけでおき、剥離が生じている。。
  中間層堆積の影響
    Sn、Cuが濡れ改善。
    剥離抑制にはCuが良い。

 

 電解Sn、Cu層形成の影響



  すべてでIMC剥離抑制。
  Snは濡れを改善、CuはIMCを変える。
  無電解Cuではずんぐりとした(Cu,Ni)6Sn5形成。

Sohn プレゼン
Sn−3.5AgとNi−P
















 IMC剥離はP量とともに増加、Ni(P)の速い結晶化とNi−Sn−P形成が原因
 はんだのNi(P)への浸透
  Ni(4.6P)では不規則消費で、Ni(13P)では剥離後の速い結晶化と亀裂形成
   最適P量は6〜8%。
 IMC剥離はNi−Sn−Pが厚くなることで生じ、剥離でNi(P)は結晶化しNi2Pに変態。





 脆性破壊はIMC剥離と関係、剥離はNi−Sn−Pのボイドによって起きる
 Sn−3.5AgではIMC剥離がおきるが、SAC305ではおきない。
 IMC剥離が少ないと延性モードが主で、最大せん断強度は変わらないがIMC剥離が増えると接合強度は顕著に低下。

Azlina
SAC305+0.05Ni、無電解Ni/Pd/Au


 Ni含有はんだで剥離が起きる。



 エージングで(Cu,Ni)6Sn5の下から(Ni,Cu)3Sn4が成長。
 エージングではリフロー(帆立貝殻状)に比べ均一なIMC厚みとなる。剥離は見られる。





 Ni含有はんだがIMC成長速く、先にIMC剥離が生じる。

Jeon
 無電解Ni(11−13at%P)/0.08μmAu、SAC405

 リフローでのIMC成長と剥離
 

 IMC1:(Cu,Ni)6Sn5、IMC2:(Ni,Cu)3Sn4



 エージングでのIMC成長と剥離

  IMCは層状で最初、剥離は観察されないが更なるエージングでNi−Pが消費され、IMCが剥離し始める。






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