(11−8−7) 剥離の特殊な例

@ エージングと無電解NiPの剥離とボイド

Peng Sun
 高温貯蔵(150℃)
 無電解NiP/0.1μmAu

 Sn−AgではNi−Sn IMCが剥離、ボイドが存在。
 SACではIMC塊が剥離。








 SACでは(Cu,Ni)6Sn5と(Ni,Cu)3Sn4の間にボイド

 大規模剥離は起きていない。
 長時間リフローによるIMC相の遷移は現実的でないが、エージングによるIMC相の遷移は十分考慮する必要がある。
 エージングではIMCの剥離は大規模剥離でなく、局部的にはんだ中へ遊離していくように見える。
 その原因としてはIMC層の不均一性(凸凹)、特有の帆立貝殻状形態にあるように見える。

A サイクル応力

Teo 
 SAC357
 リフロー後の形状の影響、温度サイクルによる周期的せん断応力。
 






  まず針状と塊状の(Cu,Ni)6Sn5が形成され、
  ついで界面のIMC粒が大きくなり、下からは(Cu,Ni)3Sn4相が成長してくる。
  最後の段階で温度サイクルで誘起された繰り返しせん断応力で剥離が起きる。

B NiVの場合

ishikawa
 2層構造とボイド形成を関連ずける。
 Ni−VのVはNi3Sn4形成を抑制し、剥離抑制。


*NiPの場合

Chen 
2004 JEM_Morphology and Kinetic Study of the Interfacial Reaction
 スパッタUBM:0.1μmCr/1μmNi/0.3μmAu、
 (下地スパッタ0.1μmCr/1μmNi)無電解Ni−P(12.5at%P)/0.03μmAu
 Sn−3.5Ag





 Ni-PのほうがIMC成長は速く、カーケンダール・ボイドが生成。
 Ni3Sn4とNi3Pの間にNi-Sn-P層が形成される。

 Niは無電解NiP、スパッタNiV、スパッタNiで反応が異なる。

C Ni/Pd/Au

Saliza
 SAC305、SAC305+0.05Niと無電解Ni/Pd/Au






 Ni含有はんだがIMC成長速く、先にIMC剥離が生じる。


D

Chen
 Sn−Cu/Ni、Sn−Cu−Ag/Ni接合
  2つの剥離
   初期の反応でルーズ構造のCu6Sn5が密な構造のCu6Sn5から剥離
   後半の反応でCu6Sn5がNi3Sn4から剥離
  

Kao 相互作用





E 電極間の交互作用の影響

国立交通大Shao
 交互作用の影響 実際のはんだ接合は部品|はんだ|PWB
 バンプ化ダイ(0.7μmCu側)、バンプ化基板(Ni側)と
 バンプ化ダイをはんだ印刷した基板パッドでFCB(下図)
 はんだ:共晶SnPb、Sn−3.5Ag、SAC387、Sn−5Sb
 リフロー温度:SnPb(210℃)、SnAg、SAC(250℃)、SnSb(280℃)
 UBM径:105μm、NiはNiP
 

 SnPb


 Sn3.5Ag


 Sn5Sb


 SAC387


 FCB
  SnPb


  Sn3.5Ag


  Sn5Sb


  SAC387





 交互作用がおきにくくなっている→Cuが薄いことと、NiがNiPのため?


F 薄い多層基材(多層反応層)構造でのIMC層構造変化と剥離

  Ni/薄いCuのような多層構造反応層では1層目が完全に消費され、その影響下で2層目の
 反応が起きると考えられる、たとえばNi/Au、Ni/Pd/Au、Cu/Agなどの保護層を有する場合も
 Au、Pd、Agが十分薄くないと下の層の反応に大きな影響を与えうる。
  またUBMなどではNi/Cu、Cr−Ni/Cu、NiV/Cuなどのような薄いCu層を上に形成される。
  このような多層構造で連続的反応がおきるとどうなるか。

KimCu量
 Sn−3.5Agはんだ、カップリングによるCuのNi基体への影響
 最初にリフローする対抗面側のCuの厚さではんだCu量規制。
 Cu厚み0.6、1.5、3.0μmで完全に溶解すると0.2、0.5、1.0重量%
 



 リフロー回数とIMCの厚み、(a)は総厚み








 Cuの厚みによりリフローで(Ni,Cu)3Sn4、(Cu,Ni)6Sn5+(Ni,Cu)3Sn4、(Cu,Ni)6Sn5と遷移。
 

Sohn
 電解Sn、Cu層形成の影響



 すべてでIMC剥離抑制。
 Snは濡れを改善、CuはIMCを変える。
 無電解Cuではずんぐりとした(Cu,Ni)6Sn5形成。


Kumar
 Sn−3.5AgをCu/無電解Ni−P/0.05Auサンドイッチ
 Ni−P厚み:3.5、7.3、9.9、Pは16at%、250℃、60秒リフロー。



 Ni−Pが薄いと、Ni−PがNi3Pとなり下地のCu拡散でNiがCuで置換され(Ni,Cu)3Sn4となる。

 Ni−Pの3.9μmで薄いというのはいささか驚きである、通常のリフローではパッドが反応で消費され、
強度低下しないためには余裕を見てCuで約5μm以上、Niで2μm以上と考えられている。

H 2相反応層

 Laurilaらの2相反応層と称する形態。
 管状IMCがSnマトリクスに埋め込まれて存在(Cu6Sn5+Sn).。


 (かなりエッチング)





 SnPbとPdの場合
  2相層はPdSn4と化学反応でPdSn4粒間に残ったPbからなる。



*構造から見ても、形成機構から見ても異なるように見える。


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