(15) ウイスカー

(15−1) 種々のウイスカー外観(写真集) 

 ここで特に問題とするのは電子製品で主にSnめっき(場合によってははんだ)から生成する純Snのウィスカで、下地から潜伏期間をもって
自発的に発生、更に経時的に成長する点で、VLS機構などによる化学反応によって形成される他のウィスカと異なる。
 多くは真っ直ぐな針状だが、湾曲bentしたもの、屈曲kinkしたものやノジュールnodule状(結節)、(あるいはヒロックhillock(小丘状)ともいう)
など種々の形状が生じる。
 成長によって直接、回路間を短絡したり、折れて取れて、ゴミとなり種々の障害を起こす。
 Snウィスカは電子部品ないしそのパッケージの端子、金属缶、PWBパッド、機械的ファスナ、コネクター、シールドなどのSnめっき表面
から主に生じるが、はんだからも生じる場合があり、更にZnウィスカなど他の金属の表面処理からも生じるウィスカもある。

(15−1−1) 種々の形状・形態のウィスカ

INEMI

 ウィスカ・フィラメント            一定断面のウィスカ
 屈曲(キンク)したウィスカ         ノジュールから成長したキンクしたウィスカ
 ヒロック                    ヒロックから発生したウィスカ


            筋のあるウィスカ・フィラメント
 異形萌出上の屈曲ウィスカ        輪を持つウィスカ
 光沢Sn上の分岐したウィスカ      長さ14−34μmのSnウィスカ・フィラメント
*上記Hillockとflaments 1500X以外はJEDEC 22A121のAnnex CのTin Whisker Imagesと同じ

NASA


tyco

 光沢Sn上のフィラメント             変形域近くのウィスカ               Ni上マットSn上の小さなウィスカ


 ウィスカ粒近くの沈んだ粒界          Sn/Pbウィスカ                          ウィスカ根元のCu−Sn IMC


 ウィスカは変形域に優先成長

Ashworth 2013

       成長方向に垂直な筋striation、平行な溝fluted


・種々の呼称

Sun

Coockson





 ウィスカとヒロック


INEMI


  定断面                      筋                         輪


  腐食の影響

・ZnウィスカとSnウィスカ
 brusse 2003 



*半導体の配線(主に気相成長膜)ではマイグレーション(ストレス・マイグレーション、エレクトロ・マイグレーション)によってアノード側に
発生する小突起を通常ヒロックと称する。

Al ヒロック
 カソード側にボイド、アノード側にヒロック生成。

AlとCuのエレクトロ・マイグレーションによるヒロック


*擬似ウィスカ、非真正ウィスカ

 擬似ウィスカ・・・無電解Snめっき中に成長。
栗原によると

*無電解めっき時の銅表面の防錆処理や付着した異種金属で局部電池を形成し、Snの異常析出によって起きると言う。
 →Panashchenkoのめっきデンドライト

 非真正ウィスカ・・・化学反応によるもの。VLSウィスカなど。 →ナノ・ワイヤー 

マックス・プランク研究所



部品例


(15−1−2) 種々のSn合金のウィスカ

Sn合金からのウイスカー例

  SAC405はんだ表面


  ホット・ディップSAC305


  SnAg共晶はんだ




  SnCu電解めっき


  Sn−6.6Lu合金


  Sn3Ag0.5Cu1.0Ceはんだボール


  希土類含有はんだ接合


  Sn−Biめっき

  Sn−Sb合金


  Sn5Sb、200℃、200h


  AuSnはんだ、成分はAu、Ni、Cu、Sn


  Sn50Al


  Sn−Mn電解めっき


  Sn−Pb被覆


Sampson


Vianco
  CuピンとAuコートのSn−52In接合からのウィスカと共晶SnPbからのPbウィスカ


  SnPbコートからのウィスカ


  多結晶例 直径10〜25μm、電解Sn



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