(15−5) いくつかの要因のウィスカへの影響例


(15−5−3) 基体材料(基材)、下地めっきの違い

  基体材料(基材)
    高Cu合金
    黄銅(Cu−Zn合金)
    42アロイ(Fe−Ni合金)
  下地めっき
    Ni
    Ag
    Zn

  などの影響が、その組織・微細構造、Sn膜への拡散・析出、酸化物形成、界面IMCなどと
 関係付けられている。

  下地については黄銅>Cu>Fe>Niでウィスカ成長しやすいとされる。
  (B. D. Dunn, European Space Agency (ESA) Report SRT-223, 1 (1987).)

 Han
  基材の影響

  室温4年で42アロイ・リードフレームはウィスカが認められない。
  ポスト・ベークCu・リードフレームは室温1年でウィスカが認められない。

  IMC成長

  Cuリードフレームでは室温2年で不規則IMC形態がウィスカ根元に認められる。(上)
  室温4年で42アロイ界面には平らで薄いIMC、Cuフレームでは粒界に不規則なIMC成長。

  ポスト・ベークの影響

 PB:ポストベーク、125℃、1h
 粒径がめっき上がり10.6μmからポストベークで13.7μmに増加。
 室温保管は再結晶で粒径減少。
 隣接粒は同じ結晶方向でない。
 PBで優先結晶方向は変わらない。

  酸化の影響

  酸化物厚みは不均一。


  55℃、85RH、600h
  IMCは大粒(2)と小粒(3)の2層をもつ
  IMCはポストベークなしは不規則2層、ありは平滑

Sosiatil
 42アロイ基体、10μmSn  −40〜130℃で100サイクル、1サイクル2h
 約50nmのSnO2、SnOはない。

 c、d:ウィスカ部、e、f:Sn粒部
 ウィスカは多結晶βSn、隣接するウィスカに互いに直接的結晶方位関係はない、Sn粒とウィスカにもない。
 Sn粒界、Snとウィスカ粒界にNi2Sn3、Ni3Sn4、Fe1.3Snが析出。
 ウィスカ形成部の酸化膜はウィスカがない部分の酸化膜yり少し薄い。
 粒界に析出したNi−SnIMC等の圧縮応力で酸化膜の薄い部分が破れウィスカ形成。


Zhang


  K65:Cu−2.4Fe−0.12Zn−0.03P
  K75:Cu−0.3Cr−0.1Ti−0.02Si
  K80:Cu−0.1Fe−0.03P
  MF202:Cu−2.0Sn−0.3Ni
  A42:42アロイ(Fe−42Ni)




Xu 2002 Xu
WI=Sn*d*L*f(L) f:weight factor on length



Ni下地効果
 室温で4ヶ月の応力(MPa)、応力はX線回折
Sn/Cu Sn/Ni/Cu
光沢 −10±1 9±1
サティン光沢 −7±1 7±0

 リフロー効果、室温12ヶ月エージング
  サティン光沢 めっき上がり:−8±3 リフロー:0±2


 Dittesら
下地の影響


原因 Cu下地は粒界にCu6Sn5成長




Fukuda


 枯渇の有無

 マットSnは1つのもとの粒から発生、光沢Snは粒構造に関係ない(1つの粒からの成長でない)

 もっとも長いものは光沢Snめっき黄銅で200μm、ノジュール型突き出しから成長した針状ウィスカ。

 下地の影響(室内放置18ヶ月)、もっとも長い黄銅上光沢で規格化(黒:マット、白:光沢)


 熱処理 SnPb条件:220℃・ピーク・リフロー、Pbフリー:260℃・ピーク・リフロー、アニール:150℃x1h


 長さでアニールに効果、しかし発生数と長さが対立関係にある。



sakuyama 富士通
  基体(基材、下地):黄銅(Cu40Zn)、りん青銅(C 5191P)、2μNi
  めっき::光沢Sn、マットSn、光沢SnCu
  厚み:2μm、5μm、10μm
  曲げで外部応力印加


   SnCu粒が微細。


  下地効果

    黄銅では数は多いが長さは短い。

    黄銅では表面にZn拡散。数が多い理由。


  基材(Cu)の表面状態

上村
 表面粗さ(基材Cu)
  常温保存(30℃、60%RH)





  めっき厚み、下地の影響については (15−5−5) Chason、Jadhavら及びDittesらの結果 も参照。


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