(15−6−7) 粒界すべり理論


(A) Smetanaの斜角粒界理論
 Smetana 2007 Smetana 2005
 再結晶による傾斜角粒界形成と粒界すべり

 新理論、モデル
  初期と必要条件
   系のエネルギー低下が必要だが各原子は必ずしもそうである必要はない。
     この理論ではウィスカ根元のウィスカ粒界の原子は周囲の領域より低エネルギー・レベルであることが示される。
   ウィスカ粒界の根元に空孔があるはず。
   更に駆動力は圧縮応力。

  再結晶が必要。
   *斜角粒界が暗示するが、証明されてはいない。めっき上がりでもありうる。
   柱状粒界→斜角粒界が低応力領域に形成し低応力状態となる。

  粒界が鍵、斜角粒界は周囲より低い圧縮成分をもつ。
  マクロ応力は同じだがミクロ応力が異なる。


  粒界拡散
   粒界はいつも高空孔サイトで空孔の発生、消滅源として作用。
  斜角粒界の応力
   応力勾配が生じ粒界の個々の原子はバルクの原子より高応力となり、原子は格子構造に移動しようとする。
  斜角粒界の別の見方
   印加応力成分が粒界に垂直および平行に働く
   粒界は固定されておらず、粒界すべりが傾角粒界に沿って起きる。















  要約

  粒界界面の力で垂直及び水平成分をもつミクロ運動が生じる。
  これで粒界すべりが起きる(クリープ)。粒界すべりで粒界ウィスカ根元のSn格子に空孔が生じる。
  高応力粒界から低応力粒界(今や空孔をもつ)へのSn原子の拡散が今や起きる。
  Sn原子がSn結晶根元へ移動しウィスカが成長する。


 下地Cuの影響、粒界でのCu6Sn5成長
 表面の酸化物効果


  Fisherの成長モデルの判断基準(Criteria)
   ・単結晶を生じなければならない
   ・線形成長速度を説明できる
   ・潜伏期間を説明できる
     −再結晶事象
     −応力蓄積
   ・極高および定成長速度終期での突然の成長終了を説明できる
     −応力解放と、または粒界拘束(ピンニング)

 この理論が説明する他の現象
  薄いめっきがウィスカ生長しやすい。
  形状がウィスカ成長に影響。
  酸化物と湿度の影響。
  なぜSn原子はウィスカ粒界に移動するか。
  均一な次元成長。
  なぜSnPbはウィスカを緩和するか−多くの斜角粒界。

 なぜ大粒はウィスカ成長しにくいか
   IMCと酸化物成長のための粒界が少ない。
   スベリと原子拡散により大きな応力必要。
   リフロー効果→粒成長。
 マット・Sn

   垂直粒界、応力解放場所がない

 現在の緩和策は応力蓄積抑制・極小化に焦点、すべての応力源を説明できない

 十分な水平粒界と大粒寸法(と低めっき応力)
   これで応力源があっても応力蓄積を解放でき、ウィスカ成長を抑制できる。
 
 〜1μm粒寸法

Crandallの説明


 圧縮応力下の粒界(a)に再結晶で斜角oblique angled粒界が形成(b)、これは垂直粒界より低応力でこれが応力勾配源となる。
 粒界は空孔の生成・消滅場所となる。
 応力勾配で斜角粒界へSnが拡散。(c)
 粒界は固定されていないので粒界スベリ(クリープ)がおきる。
 多くのSnが粒界に移動し、粒界のある原子はウィスカ粒に移動。(d)
 これにより上方へウィスカが成長。(e)
 どこでSn原子がウィスカ粒に導入されるかと拘束粒界があるかどうかにより表面からどのように(真っ直ぐ、曲がる、屈曲kink・・・)ウィスカが
突き出るかが決まる。


Sarbol 局在化Cobleクリープ(粒界拡散クリープ)と粒界すべり、粒界移動
 grain boundary faceting, localized Coble creep
 coupling between grain boundary sliding and shear induced grain boundary migration
 粒界すべり、粒界移動

Handwerker












 引っ張り応力では










  粒界すべり制限拡散クリープ・モデル
   応力状態によりウィスカ成長したり沈降したりする。
   応力は結晶方位、幾何形状による。


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