(15−5−11) スパッタ膜


Crandall 膜、基体効果
 マグネトロン・スパッタのスパッタ条件で圧縮または引っ張り応力を導入。
 IMCを形成しない下地。
 高電流密度による加速成長。
 サブミクロンの薄い厚み。
 トップ・メタル効果(Ni、Pt抑制、Cu、Pb効果なし)
 基体荒さ、ガス雰囲気、湿度の厳格な制御。

 トップ・メタル効果
  Ni(>700Å)、Pt(325−1360Å)に効果、 高せん断剛性
  Au(875−3000Å)、Cr(250−1400Å)効果ない。 

 応力を増加または拡散を促進する因子

 応力それ自身はウィスカを発生させるのに十分ではない。
 ウィスカ成長に影響するのはめっき化学と工程、堆積膜特性、基体、環境

 主な原理モデル
  Viancoの動的再結晶DRXモデル
  Smetanaの斜角粒界モデル

 Sn酸化はウィスカ成長におおきな役割を演ずると考えられている。
 Sn酸化膜の局部破れが空孔供給経路となる、非均一で酸化膜の弱い場所からウィスカ成長、
酸化による比体積増加による応力・・・しかし酸化の役割は議論になっている。

 膜下の基体もウィスカ成長に大きな影響。
 異なる基体材料はSn(合金)と異なる反応をする。IMC形成の有無、IMCの形態(高温ではバルク拡散で均一、低温では
粒界拡散で不規則→局部圧縮応力)、比体積変化による応力、形成IMC相(Cu6Sn5と高温でのCu3Sn)。

 環境条件も大きな影響。温度、温度サイクル、相対湿度。印加外部応力。電流、電圧バイアス、圧力。
 アニール、溶融、リフローなどの熱処理。

 やりがいのある方面
  潜伏期間
  成長速度  
   0.03〜9mm/年  
   Fisher 拘束下7500PSI         10000Å/s
        非拘束状態             0.1〜1.0Å/s
   Pittら ホット・ディップDn鋼 拘束条件  8000PSI 593Å/s
  試験条件と実使用条件が異なる。成長予測ができない。

 マグネトロン・スパッタでの圧力と膜応力の関係を利用して圧縮応力と引張応力を制御。
 →引っ張り応力でもウィスカ成長


 Thornton、Hoffmanらの結果

 膜厚の影響 室内放置
  極薄


 粗い黄銅が研磨した黄銅よりウィスカ少ない。
 *厚み750−1125オングストロームで密度が極値となっているように見える。

 平均ウィスカ長(μm)
膜厚み(Å) 140日 211日 470日
研磨
375 73.5 61.6 45.5
750 36.8 22.1 10.3
1125 18.7 17.3 13.0
1500 14.2 6.5 4.3
非研磨
375 8.8 5.4
750 16.5 9.0 5.6
1125 7.6 4.8 3.6
1500 4.1 2.6
注:長いものはバラツキが大きい。

 *平均長が短くなっていっているのは成長するより新たに生成する傾向があるということか。
 *研磨黄銅では厚みの薄いほうが長い傾向がある。
 *研磨黄銅のほうが太いように見える。


 目盛りは(a)(c)(d):4μm、(e)(f)(g):2μm、(b):5μm、(h):10μm
 時間?
 多くに筋が見える。

 AESからはSnCu IMC形成が予測される。(Sn膜へCuが拡散)

 厚い
  電解研磨黄銅


平均ウィスカ長(μm)
膜厚み(μm) 123日 268日 434日
0.3 21.5 11.0 7.6
0.6 43.5 33.4 20.6
1.2 13.5 10.0 9.6
2.0 13.2 9.1 10.1
注:0.6μmはバラツキが大きい。




*平均長に関しては双峰性を示している。




 マスク・スパッタによる格子模様の形成(体積効果)
  約300μmx300μm〜約50μmx50μm、4μm、1μm島状。
  格子面積が大きいほどウィスカが多い。

 下地Ag


平均ウィスカ長(μm)
膜厚み(Å) 90日 265日 425日
1200 10.7 7.5 8.4
2000 8.2 5.8 11.5


 下地の組み合わせ




平均ウィスカ長(μm)
基体(1600ÅSn膜) 54日 116日
Si 6.6 6.5
ガラス 2.5 2.5
InAs 6.0 8.3
GaAs 4.2 6.9
InP 3.3 6.9
Ge 7.5 6.6


 応力状態



 引っ張り応力が長い

Xuらのデータ引用 Xu1


 スパッタSn合金 (膜、基体効果

平均ウィスカ長(μm)
厚み(Å) 36日 190日 1年
SAC305 2400 2.3 4.6 5.0
SnPb 750 2.2 3.9 3.4
1200 NA NA 2.3




環境の影響
 酸素

平均ウィスカ長(μm)/ウィスカ密度(cm−2
厚み(Å) 49日 147日 150日
RT/RH 1500 14.2
1729
純酸素 1400 7.5
5895
5.7
15588
2000 5.3
873
3.2
7598



 相対湿度




 酸素の役割
  ウェット酸化
  ドライ酸化



  1000Å圧縮応力スパッタAu(Si上)でもウィスカ成長→表面酸化物は必要でない

 電気バイアス効果

  カソード側にボイド、アノード側にウィスカかヒロック
  加速効果 数週ないし数ヶ月が数時間に

 ウィスカ緩和

  POSS(ポリイミド)絶縁コ−ト 有効(839日RT/RHで発生なし)

  Ni下地
   黄銅またはSi/1000ÅNi/2000ÅSn 有効

  金属キャップ





Rodekohr
 Sn/下地Al、曲げで応力導入、スパッタSn膜、1500Åと6000Å

 1500Å




 6000Å





  引っ張り応力でもウィスカ発生。


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