(15−4) 各種ウィスカ例


(15−4−1) 合金めっきウィスカ

 参照→(15−1−2) 種々のSn合金のウィスカ

  SnPb、SnBi、SnAg、SnCu等のはんだめっきからのウィスカは他でも種々述べているのでいくつかの特徴のあるものに
 軽く触れる。

Sn−Mn


Bi−Sn
 10−20%Bi、めっき後熱処理

  SEM morphologies of (A and B) as-plated and (C and D) annealed Sn-xBi deposits (260 °C)
   with x = 19 (A and C), 13 (B and D) (in wt.%).

  B、C、Dとも主ピークはBi

  The formation scheme of Bi-Sn extrusions on Sn- x Bi deposits upon annealing


Hoffman 軟質金属SMウィスカの自発成長

  表面の酸化物層に加え粒界での酸化物形成→圧縮応力で軟質金属が降伏しウィスカ形成。

  真空での成長は残留または吸収酸素。

  ウィスカ成長はCoble(拡散)クリープ、Snは高応力部から低応力部へ粒界に沿って拡散。

 Zr2InC、Cr2GaC、Mo2GaC、Hf2InC、(Zr,Ti)2InC、Ti2InCなどからIn、Gaが発生する。

  Zr2InCからのInウィスカ

(15−4−2) はんだウィスカ

SACはんだ
 SAC305、42アロイ・リードフレーム、60℃、20−30RH%、電圧サイクル、10日
  リードフレーム両面
    トップ 圧縮
    ヒール 引っ張り
  長いフィラメント、太く短い棒状、ヒロック、殻状
  特に棒状と殻状に筋
  フィラメントはSnだけ検出
  他はSnと若干のAg3Sn、Cu6Sn5
  ウィスカは多くはヒロックから、ヒロックはAg、Cu欠乏はんだ
    はんだは再結晶構造 ヒロックの根元が小さい、ヒロック内部は1、2個の大きな粒








  ヒロックははんだバルク微細構造と異なり、再結晶Sn粒と非常に少ないIMC粒子を含む。
  ヒロックは酸化膜の穴から出ているように見える。


Sn−Zn
 85℃、85RH%

  60℃、90RH%ではノジュール、ウィスカ生じない。
  Znが酸化しZnOを形成し粒界に偏析しウィスカ形成促進。
  60℃、90RH%ではZnの酸化は表面の2、3μm。

ウイスカ抑制はんだ
  はんだウィスカに対し抑制への合金成分の効果
 
  Znに添加効果あり。


  ウィスカはフィレット部末端部や酸化されている部分に集中、酸化が原因。

  60℃、90%のSACだけがウィスカ発生。

  SACの断面

はんだウィスカ 大野

  Snの酸化物生成と更に大野らはIMC形成による体積増加が原因とする。

  櫛型基板のCu配線とNi/Auめっきを施したものをフラックスで260℃、5秒の溶融Snはんだディップ。






腐食 デンソー

  潜伏期間をもち、成長は飽和する。
  SAC305に0.3Sb、0.04Ni、0,003P添加、SAC405、SnCuNi、SnPb
  SnPbは発生せず、Sb添加は少ない、SnCuNiが多い。
  Ni/Auの効果はない。
  水蒸気量が多くなるほど多発。


(15−4−3) 希土類成分の影響

Chuang
  Sn3Ag0.5Cu0.5Ce





 酸化物層下のCeSn3のCe欠乏領域からウィスカが出ている。
 CeSn3の酸化による膨張と周囲のはんだによる拘束による圧縮応力が原因。

Sn-RE Liu 希土類IMCからのウィスカ ・・・NdSn3、NdIn3、LaPb3組成
  NdSn3組成(IMC)、室温放置


  RE(OH)3が存在。

Li REーSn RESn3(Nd、La、Ce)





(15−4−4) 溶接ウィスカ

Kubouchi
  アルミニウム電解コンデンサの端子はSnとCuめっきFe線(CP線)とAl線のパーカッション溶接。
  ウィスカは溶接個所のAl−Sn合金領域から発生。




久保内



 

  Sn相は3次元網目状組織。
  〔001〕方向に成長、屈曲部で結晶方位変化。


  切断したものでは切断面(もとの溶接部内部)からも発生



  Al−Sn合金の断面SEM像、(a)水冷、(b)空冷、(c)炉冷
  48時間放置後。
  ウィスカ発生は(a)>(b)>(c)でSn相の粗さに逆比例。

  予熱効果


Al−Sn
  Al−Sn(1、5、10原子%)鋳造合金。
  SnとAlの2相。


  Snの部分からウィスカ成長。

  Al相の選択エッチングが抑制に有効。

村上
  Al−Sn合金のウィスカ




(15−4−5) エレクトロ・マイグレーション・ウィスカ

エレクトロ・マイグレーション

Weiら
  SnPbはんだ2.3μm、0.4μmCuに210℃x4秒。表面研磨で平滑化。

  金属配線の下層はTi、電流の80%がはんだ、19%がSnCu IMC。


  (a)相偏析の原因は熱マイグレーション(サンプル表面が冷たい)
  (b)Pbウィスカ続いてSnウィスカが成長した複合ウィスカ。
  (c)低電流密度ではヒロックだけが生成。

  SnとPbが交互の複合ウィスカ

  成長方向は〔110〕〔11〕〔112〕方向

ダイアッタチの共晶SnPbはんだからのウィスカ
  GaAsレーザー・ダイオード・アレイ





  電流は少ない。
  原因推定:EMかCTEミスマッチ(10−40Hz、ΔTは40℃まで)


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