Pbフリーはんだの金属学的基礎


(7−1−6) 共晶近傍NE・SACの特性と比較

 SACは共晶近傍NEのSAC305〜SAC410付近が中心で3.0〜4.0Ag、0.5〜1.0Cuの組成である。
 ただしアイオワ大の共晶組成はSn−4.7Ag−1.7Cuとこれから大きくずれている。
 この組成で融点あるいは固液共存範囲(溶融開始温度と溶融終了温度)はほぼ217〜219℃である。
 温度上昇(加熱)時の溶融開始温度と温度下降(冷却)時の凝固終了温度、および温度上昇時の溶融終了温度と
温度下降時の溶融終了温度は一致せず、Pbフリーはんだでは溶融開始温度と凝固開始温度の差を過冷却と呼んでいる。

Toux

 デンドライトはしばしば同じ結晶方位でコロニーとして集まる。
 

SAC357



カリヤ  



Mattila


Pecht






Almit SAC396、SAC357、SAC305 比較
 →企業の研究動向 



Kim





 寸法効果 荘司 群馬大
  マイクロ:径0.5mmx2mm


                                    マイクロ・サイズ

 
 微細寸法試料の微細組織
 亜共晶、共晶、過共晶に相当、亜共晶から過共晶になるに従い、βSnは微細になり、過共晶では針状となる。


 マイクロ・サイズ試料よりバルク試料のβSnが粗い。
 エージングでβSnは細かくなり、IMCのAg3Sn、Cu6Sn5が粗くなる。引っ張り強度は若干低下。
 伸びは若干上昇するが、亜共晶とSnPbでは過時効が生じる。



 Gong

 

 共晶近傍(NE)SACの凝固組織は通常、βSnのデンドライトが微細な共晶組織で囲まれたデンドライト組織であるが、
熱サイクルなどでは再結晶によりIMCが分散した等軸状組織となる。
 

Zeng 瀋陽NLMS
 等軸組織:180℃保持の鋼製鋳型、3ヶ月常温エージング
 デンドライト組織:250℃のアルミニウム型の鋳造し、型ごと水冷。





Wise

ケスター
 
 荘司ら
  
 Sn-3.5Ag-0.75CuがNISTによる3元共晶組成、そうするとここではSn-3Ag-0.5Cuは亜共晶、Sn-3.5Ag-0.7Cuはほぼ共晶、
Sn-4Ag-0.9Cuは過共晶に相当。
 亜共晶ではβSnが粗大で、面積的にも広いが過共晶ではβSnが微細で針状になり面積的にも狭くなっている。
  
 エージング後ではSn-3Ag-0.5Cu、Sn-3.5Ag-0.7CuではβSnが微細になりAg3Sn、Cu6Sn5が粗化。
  明るい灰色がβSn、暗い灰色がAg3Sn、黒がCu6Sn5

 菅沼
  




 Vianco
 
 Sn-4.3Ag-0.2Cu Sn-3.9Cu-0.6Cu Sn-3.8Cu-0.7Cu



 Ag3Snの形成
  冷却速度、Ag量、Cu量
 Cu
  
 


 
 


 シンガポールのCheら
















 2008年





 Cuの影響 Lu →はんだ接合界面と金属間化合物 


 韓国先端科学技術研究所のチョイら →はんだへのNi、Coの微量の影響

 Kang Ag3Sn


SAC305とSAC405
2009_06_2nd Generation LF Alloys-PPT
*SAC3元共晶近傍NTEとその代替
  


 Pbが供給鎖から除外されればSn−Ag−Biも復活?
  SAC305とSAC396



*正確には初晶としての晶出であって過飽和固溶体からの時効による析出ではない。
 析出硬化というより分散硬化。

  SAC405とSAC305   高Ag(3.8−4.0%)かやや低いAg(3.0%)か
   
   SAC305
    巨大初晶Ag3Sn析出問題で有利(析出しにくい)
    低融点
    低コスト
    パテント・フリー?




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