(11−11) はんだ添加成分の影響

(11−1−1) 主なはんだと接合金属で形成される金属間化合物

    添加成分の存在形態

     SnとIMCを形成する
       ほとんどの金属
     SnとIMCを形成しない
       Pb、Bi、Zn、Al、Ga、Ge、Si
     Sn以外の成分とIMCを形成
       Pb→Au
       Al→Cu、Ag
       Zn→Cu、Ni、Ag

     Cu基体との反応
      Cu6Sn5で固溶・置換 
        Cu置換 Ni、Co、Au
        Sn置換 In
      *IMC層形態変化
        Cu6Sn5 Ni、Co
      IMC相変化
        量が増えると Cu−Sn IMCから Cu−X IMC →Zn
          *Niははんだに多くは添加しない

    Ni基体との反応
     Ni3Sn4で固溶・置換
       Ni置換  Cu、Au
       Sn置換  In
     *IMC層形態変化
     IMC相変化
        量が増えると Ni−Sn IMCから 
          Cu   (Cu,Ni)6Sn5 IMC 
          Zn   Ni−Zn IMC  
    はんだ中主要含有成分と反応
     Au
      Auと反応しIMC
      AuSn4で固溶・置換

     Ag
      Agと反応しIMC
      Ag3Snで固溶・置換

 *半導体のリードフレーム材料の微量添加成分
   半導体のリードフレーム材料としては樹脂との密着性からはFe−Ni合金が良いが、放熱性や導電性、非磁性といった観点から
  Cu合金が多く利用されるようになっている。
    Cu合金
    ◎C19400(Cu−2.3Fe−0.12Zn−0.03P)
    ◎C50710(Cu−2Sn−0.2Ni−0.1P)
    ◎C19210(Cu−0.1Fe−0.03P)
    ◎C18040(Cu−0.3Cr−0.25Sn−0.2Zn)
    *C14410(Cu−0.15Sn)
     C18045(Cu−0.3Cr−0.25Sn−0.2Zn−0.02Si)
     C70250(Cu−3.0Ni−0.65Si−0.15Mg)
     C64730(Cu−3.2Ni−0.7Si−1.25Sn−0.3Zn)

     C72500(Cu−9Ni−2.3Sn)
    挿入部品
     C19210(Cu−0.1Fe−0.03P)
     C14410(Cu−0.15CSn−0.01P)
     C15150(Cu−0.02Zr)
     C15100(Cu−0.1Zr)

(11−11−1) 主なはんだと接合金属で形成される金属間化合物

 Sunによると主なはんだと接合金属で形成される金属間化合物は

 *Sn−Zn(−Bi)はんだとNiの場合Ni5Sn21というのは明らかに誤りでNi−Zn IMCである。














 主なはんだと接合金属で形成される金属間化合物
はんだ\IMC はんだバルク Cu基体界面 Ni/Au基体界面
Sn-37Pb Cu6Sn5 Ni3Sn4
Sn-Pb-Ag Ag3Sn Cu6Sn5 Ni3Sn4
Pb-5Sn Cu3Sn
Sn-Ag Ag3Sn Cu3Sn Ni3Sn4
Sn-Ag-Bi Ag3Sn Cu3Sn Ni3Sn4
Sn-Ag-Zn Ag3Sn、Ag5Zn8 Cu6Sn5、Cu5Zn8、Ag5Zn8
Zn量に依存
Ni3Sn4、Ni5Zn21
Zn量に依存
Sn-Ag-In γAgIn、(Ag3Sn)、(γSnIn) Cu6Sn5
Sn-Ag-Cu Ag3Sn、Cu6Sn5 Cu6Sn5 (Ni,Cu)3Sn4、(Cu,Ni)6Sn5
Cu量に依存
Sn-Ag-Ni Ag3Sn、Ni3Sn4 (Cu,Ni)6Sn5 Ni3Sn4
Sn-Ag-Co Ag3Sn、CoSn2? (Cu,Co)6Sn5
Sn-Cu Cu6Sn5 Cu6Sn5 (Cu,Ni)6Sn5
Sn-Co-Cu (Cu,Co)6Sn5、(Co,Cu)Sn2 Cu6Sn5 (Cu,Ni)6Sn5
Sn-Cu-Ni (Cu,Ni)6Sn5 (Cu,Ni)6Sn5
Sn-Zn Cu5Zn8? Au-Zn、Ni-Zn?
Sn-Zn-Bi Cu5Zn8? Au-Zn、Ni-Zn?
Sn-Zn-Ag Ag-Zn Cu5Zn8
Sn-Zn-In Cu5Zn8 Ni5Zn21
Sn-Bi Cu6Sn5 Ni3Sn4
Sn-52In β(In3Sn)、γ(InSn4) Cu6(Sn,In)5 電解:AuIn2
無電解:Ni3(Sn,In)4
Sn-Sb (SnSb) Cu6Sn5
Au-20Sn Au5Sn(ζ’)、AuSn(δ) (Cu,Au)6Sn5 (Au,Ni)3Sn2:(Au,Ni)3Sn

*注
 Yoon Sn−ZnとNi/AuではAu-Zn、AuZn3、AuZn8
 Fima Sn−ZnではCuとCu5Zn8、NiとNi5Zn21
 Yoon Au−20SnとNi/Auで(Au,Ni)3Sn2:(Au,Ni)3Sn
 注意すべきはNi/Au基体では形成されるIMCはCuの影響を受けることである。
 またZnによりCu、Ni基体ともIMCがZnのIMCとなり、Zn、Inが添加されるとNi/Au基体で界面にAuのIMCが形成される。
 なおNi/Au基体などのようにAu保護膜が形成されている場合でははんだ中に当然Au4Snが形成される。
 電極との反応でSn-CuあるいはSn-Niに第3成分が関わると
   基本的に影響がない
     Ag、Bi、Sbなど
   IMC種の変化、組成が影響
     Znなど、(Ni,Cu)3Sn4→(Cu,Ni,)6Sn5
   IMCへの固溶(置換) 
     (Cu,Au,Ni,)6Sn5、(Ni,Cu)3Sn4、(Au,Ni)Sn4など
が生じる。
 合金基材(電極)では
   42アロイでは(Fe,Ni)Sn2の2層構造で基材側は均一ではんだ側凸凹している。反応は遅い。
   黄銅(Cu−Zn)ではCu6Sn5。その他銅合金もCu6Sn5。

 詳しくは→(11) はんだ相互接合界面


戻 る 目 次 次 へ


inserted by FC2 system