Pbフリーはんだの金属学的基礎
(3−3) 日本のプロジェクト
(3−3−1) 概要
日本のプロジェクトはNEDO資金などによりJEIDA−JEITAを受け皿にしたものががいくつか実行された。
NEDO 2007
JEITA 2008
JEITA実装技術標準化委員会 2008
*詳しい内容は(3−3−3) 低温はんだ、フロー用はんだ、高融点はんだ 参照
フローはんだ付け用低銀鉛フリーはんだ材料
高温鉛はんだ代替金属材料
接合耐久性試験方法
BGA/LGAはんだ接合部のボイド評価基準
*規格(JIS C61191−6:2011)では
BGAの場合
|
ボイドがない場合の60% |
同80% |
同等 |
|
Sn−Ag−Cu系 |
<20 |
<10 |
<5 |
Sn−Zn−(Bi)系 |
<30 |
<25 |
<20 |
ウィスカ防止技術 →(15−3−1) JEITAの研究 参照
(3−3−2) 鉛フリーはんだ規格化のための研究開発
まず「鉛フリーはんだ規格化のための研究開発」(1998−2000年)によりはんだ合金の検討が行われた。
JEIDAの活動 2000 谷口による概要解説は
NEDO 2000 橋本による溶接協会の活動は
鉛フリーはんだは融点+α(リフローで10℃、フローで15℃)で接合可能であったとする。
なおSn−3.5Ag−0.7Cu、Sn−3.5Ag−3Biのやに入りはんだは0.3mmφまで加工可能であるが、
Sn−3.5Ag−5Biは割れ発生で細線化が困難であるとする。
英文菅沼 2007などによる2000年のJEIDAロードマップでは
推奨は
菅沼
NEDO 2007 によると
(3−3−2) 実装問題
実装問題に関しては
「高密度実装における新接合技術の信頼性評価方法の標準化」(2001−2004年)については
NEDO 2007のよると
JEITA2003
ウイスカについては環境条件から
室温におけるウイスカ
温度サイクルで発生するウイスカ
酸化・腐食条件で発生するウイスカ
外圧下で発生するウイスカ
エレクトロマイグレーションで発生するウイスカに分けている。
またJEITAの活動として
機構から3つにわけ外部応力型、内部応力型、はんだウイスカのついて
研究している。
ウイスカについては詳しくは(14−3)
ウイスカー で述べる。
マイグレーションについては(16−3−2)
エレクトロ・マイグレーション で述べる。
またIMS−EFSOTプロジェクトの「環境対応次世代接合技術の開発」は
芹沢ら
http://www.sanetu.co.jp/qa/pdf/pdf05.pdf
結論
Sn−Ag−Cu系とSn−Cu系を推薦。
第二選択はSn−Zn(−Bi)系。
Sb、In含有はんだは毒性と希少性から避けるべきである。
(3−3−3) 低温はんだ、フロー用はんだ、高融点はんだ
低温はんだ、フロー用はんだの概要は下記のようである。
詳しくは(6)
低融点系 及び、(7−4)
SACの低Ag化 で述べる。
低温はんだについては
低温はんだ 2006 低温
JEITA 第2世代フロー用はんだ標準化プロジェクト 2008
既存はんだの問題
構成主材料の高騰 ・・・最大の問題
Sn−Cu系ははんだ上がりが悪いためスルーホールには使えない。
銅箔喰われの問題
検討したはんだは
最初の各社提案組成は
Sn−0.7Cu−0.03Ni
Sn−0.7Cu−0.03Ni−P(0.003,0.005)
Sn−0.7Cu
Sn−0.7Cu−Ag(0.1,0.3,0.5.1)
Sn−0.7Cu−0.3Ag−0.005P
Sn−0.7Cu−(0.3,1)Ag−1Bi
Sn−(0.5,0.7)Cu−0.05Ni
Sn−0.7Cu−(0.03,0.05)Co
Sn−0.7Cu−0.3Ag−(0.03,0.05)Co
Sn−0.7Cu−(0.3,0.5,1)Ag−0.05Ni
Sn−0.7Cu−0.3Ag−0.1Bi
Sn−0.7Cu−0.3Ag−(0.1,0.3,0.5)Bi−0.04Ni
各添加元素の期待効果
P:ドロス抑制
Co:耐クリープ性、銅食われ
Ni:銅食われ
Bi:濡れ性向上、低融点化
Ag:耐疲労性、低融点化
結論は上記のようにSn−1.0Ag−0.7CuとSn−0.3Ag−0.7Cuの推薦であった。
日本では低Agはんだはフロー用の低銀化・低コスト化という観点から調査されたが、欧米では落下衝撃性の改善の観点から調査された。
NEDOの高温鉛はんだ代替技術開発(2005−2007年)は
ダイアタッチ用としてZn−Sn系(Zn−30Sn)、Bi系なども検討するが結局導電接着剤中心となる。
成果の意義として高機能材料開発では
金属系Zn−Sn、Bi系、導電性接着剤のいずれも耐熱性が確保され、界面制御が可能となった。
としている。
高融点はんだについて詳しくは(15−1)
高融点はんだ で述べる。